空き家の建て替えをご検討中の方の多くは、戸建てから戸建てへの建て替えをイメージしていると思います。しかし、空き家は戸建てだけではなく、賃貸経営用の建物に建て替えることも可能です。
今回は空き家の建て替えをするときに、先にチェックしておくポイントや、他の土地活用の可能性、そして建て替え費用に関したことをまとめています。
賃貸物件への建て替えをご検討の方は、以下のボタンから気軽にプロに相談してみてください。最大10社から、土地に合った活用プランの提案を受けられます。
空き家の建て替えでチェックしておきたいポイント
空き家の建て替えを考える際には、以下の5つのポイントをチェックしておく必要があります。
- 築年の古さを確認
- 建て替え可能エリアの確認
- 土地活用方法を比較する
- 建て替え工期を確認
- 建て替え費用を確認
これらのポイントをチェックし、総合的に考えることで、建て替えがどのくらい現実的なのか、その際に検討できる建物にはどのようなものがあるのか判断ができます。
詳しくは「空き家の建て替え、5つのチェックポイント」をご確認ください。
空き家の建て替えに必要な費用は?
空き家の建て替えに必要な費用は、大きく分けて以下の3つがあります。
- 解体工事費:今ある建物を解体する費用
- 建築工事費:新しい建物を建築する費用
- 諸費用:火災保険・ローン事務手数料・印紙代・登記費用など
国土交通省の調査によれば、一般的な建て替え費用の相場は約3,300万円です。ただし、実際はエリアや土地条件、建物の規模によって大きく変わってきます。そのため、複数の建築業者に見積もりを取ってみるのが近道です。
詳しくは「空き家の建て替えに必要な費用」をご確認ください。
空き家の建て替えパターンには何がある?
空き家を建て替えるタイミングで、住居以外に、賃貸経営という形で土地活用をすることもできます。以下の方法も検討してみると、可能性が広がるでしょう。
- 戸建て賃貸
- 賃貸併用住宅
- アパート経営
- マンション経営
- リノベーション
特に、賃貸需要のあるエリア、立地の良いエリアに空き家がある場合は、賃貸経営も検討しておくと、土地からの利益をより大きくし、資産を増やせる可能性が高まります。
それぞれの方法の利回りのめやすなど、詳しくは「空き家の建て替えパターンと利回りめやす」をご確認ください。
目次
1.空き家の建て替え、5つのチェックポイント
ご所有の空き家を建て替えるべきかをお悩みの場合に、先にチェックしておくべきポイントを5つにまとめています。建て替えをしても・しなくても、把握しておいた方が良い情報ですので、土地活用の下準備としてすすめてください。
- 築年の古さを確認
- 建て替え可能エリアの確認
- 土地活用方法を比較する
- 建て替え工期を確認
- 建て替え費用を確認
1-1.築年の古さを確認
まずは、建物の築年数を確認して下さい。築年数は、お手元にある建物に関する書類のうち、登記簿・登記事項証明書・登記申請書・売買契約書・建物購入時の重要事項説明書に記載があります。
築年を知るだけであれば、この書類のうち、どれかひとつあれば「新築年月日」としての記載があります。空き家建て替えの判断めやすは、以下のようになります。
- 築30年以上⇒基本的に建て替える前提で、建て替え後の土地活用も検討する
- 築20~30年未満⇒建物の状態によってリノベーションと建て替えを同時に検討する
- 築10~20年未満⇒そのまま使うか、必要な個所のみを修繕していく
上記はあくまで参考です。実際の建物は、どのくらい手入れが良かったかで、同じ築年でも見た目も状態もかなり違ってきます。また、ご自分が住むのに問題がないレベルと、賃貸物件として貸し出すのに問題のないレベルには違いがあります。
ハウスメーカーや建築会社に土地活用プランや建て替えプランの請求をし、担当者に建物内部の現地調査をしてもらった上で、総合的に判断するようにしてください。
複数のプラン請求をする際には、NTTデータグループの運営する「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご活用ください。一回の入力で最大10社にまでプラン請求ができますので、一度に複数のプランを比較できてスムーズです。
1-2.建て替え可能エリアの確認
築年数が古い建物は、古い建築基準法で建てられているケースが多く、建て替えの場合は、現行の建築基準法に合わせて建てる必要があります。その場合、今と同じ広さの建物が建てられない、または、更地にしてしまうと新規に建物が建てられなくなっている(再建築不可物件)可能性もあります。
このようなことから、空き家を建て替える場合には、かならず、先に土地の条件や法律の確認をしておき、そのうえで、土地活用方法や建て替えを計画するようにしてください。
建て替え前提であっても、先に更地にしてしまうと、後からは新しい家が建てられない可能性もありますので、全ての行動は調査が済んでから行ってください。
エリア条件や法律の確認は、ご自身でするよりも、土地活用プランや建て替えプラン請求をするときに、ハウスメーカーや建築会社の担当者に調べてもらう方が正確です。また、土地条件に関した内容を、はじめての土地活用でわかるように、やさしく説明してもらえます。
1-3.土地活用方法を比較する
築年数と土地条件を確認し、建て替えが問題なく出来ることがわかったら、自宅として建て替える以外にも、土地活用としての建て替えも同時に検討し、プラン内容を比較してみてください。
とくに、駅から近い・近隣に評判の良い学区がある・大きな道路に出やすい場所にあるなど、生活便利で暮らしやすいエリアの場合、自宅として住むよりも、人に貸し出して賃貸経営をしたほうが、土地から大きな収益を得られる可能性があります。
住居としての賃貸経営には、戸建住宅経営・アパート経営・マンション経営・テナント経営・賃貸併用住宅など、様々な選択肢があります。ハウスメーカーや建築会社への建て替えプラン請求の際に、あわせて土地活用プランも請求すると、一度にさまざまな可能性を比較できます。
1-4.建て替え工期を確認
建て替えの計画を立てる際には、おおよその工期を確認してください。ご自宅としての建て替え・賃貸経営としての建て替えのどちらであっても、完成時期はとても重要です。
ご自身で住む場合は、賃貸に住んでいれば退去のタイミングに関係しますし、すでにマイホームをお持ちで引っ越しをする場合は、今のマイホームの処分や、仮住まいの確保が必要なケースもあります。
また、賃貸経営をご検討の場合は、春の引っ越しシーズンに合わせて新規入居が決まりますので、シーズン前には竣工している必要があります。木造の平均的な工期は半年~8ヶ月、鉄筋コンクリート造の場合は10~12ヶ月ほどかかりますので、逆算して完成時期を計画する必要があります。
1-5.建て替え費用を確認
建て替えができる土地条件がわかったら、次は、いくらで建て替えができるのかを把握しておく必要があります。大まかな計算方法は、土地に建てられる建物の総面積に坪単価をかけたものです。
どのような建物を建てるかによっても坪単価が変わります。例えば、以下の表のように、木造・鉄骨・鉄筋コンクリート造とで、相場が変わってきます。
建築費=建物の坪数×構造坪単価 | 延床面積100坪の場合 | |
---|---|---|
構造 | 坪単価相場 | |
木造 | 77~100万円 | 7,700~1億円 |
鉄骨造 | 80~120万円 | 8,000~1億2,000万円 |
鉄筋コンクリート造 | 90~120万円 | 9,000~1億2,000万円 |
ただし、これらの費用は建物の建築プランが決まり、構造・設備グレード・総面積などの細かい情報がないとハッキリした数字はわかりません。
空き家の建て替えに必要な費用総額を知りたい場合は、まずは、複数のハウスメーカーや建設会社に建て替えプランと土地活用プランの両方を請求し、構造や建物の内容がある程度決まった状態で総額を把握してください。
たくさんのプランを見比べていくと、このくらいのプラン内容ならいくらなど、ざっくりとした分類ができるようになります。
また、土地条件や建築基準法に沿っているかなども、不動産のプロフェッショナルによる正確なものをベースにプランが提案されていますので、プランにあるものは、建築可能ということになります。
複数のハウスメーカーや建設会社に建て替えプランや土地活用プランを請求する際には、一回の入力で最大10社にまでプラン請求ができるNTTデータグループの運営する「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご活用ください。
2.空き家の建て替えに必要な費用
本章では、実際に空き家を建て替える時に必要な費用を、今と同じ規模で建て替えることを前提に試算シミュレーションをします。
ただし、実際に同じ規模で建て替えられるのかは、土地条件などによりますので、ハウスメーカーや建築会社にプラン請求をして正確な情報をそろえるようにしてください。
空き家の建て替えに必要な費用は、以下の3種類になります。
- 解体工事費
- 建築工事費
- 諸費用
2-1.解体工事費
新しい建物を建てるためには、今ある建物を解体して更地にする必要があります。基本的な計算方法は、「解体坪単価×解体する建物の延床面積」なのですが、解体坪単価はエリアの相場以外にも、壊す建物の構造や、立地や付随工事の有無、住宅の階層などによって変わってきます。
一般的に、構造は木造<鉄骨<鉄筋コンクリート造の順番で高くなり、立地は道路付けが良い方が安く、入り組んだ敷地になるほど搬出搬入の手間がかかり、費用が高くなる傾向があります。
付随工事とは、家の基礎を取り払った結果、地面の中から井戸や埋蔵物などが出てくることがあります。その場合は、それらの解体・掘削と処分費用などが発生します。
解体費用は、解体工事会社に見積もりを頼むこともできますが、建築プランや土地活用プランを請求すれば、建築プランの中に解体費用が含まれたものが提案されてきます。
2-2.建築工事費
建築工事費は、本体工事費と付帯工事費を合わせたものです。本体工事とは、家そのものを建てるために必要な費用です。本体工事費の金額によって建築可能な家のグレードが変わります。
家のグレードは主に外観や設備のスペックに反映されます。プラン請求をすると最高グレード・ミドルグレード・シンプルグレードの3種に分かれて提案されることが多いので、各社にどのような違いがあるのかをよく比較してください。
付帯工事は、家の建て替えに関連した工事全般のことです。例えば、ガス管や水道管の配管やエアコン設置などです。総工事費の約20%が付帯工事費の相場になります。
2-3.諸費用
諸費用とは、火災保険・ローン事務手数料・印紙代・登記費用・税理士や司法書士への報酬・各種申請費用・仮住まい費用・引越しの費用などのことです。
どのような建て替えをするかによって、必要となる費用項目がかわりますが、めやすとして、総工費の5~10%前後が必要です。詳細は関連記事もあわせてご確認ください。
2-4.相場の調べ方
国土交通省の調査によれば、一般的な建て替え費用の相場は約3,300万円です。しかし、実際の建て替えには、エリアや土地条件のほかに、どのような建物に建て替えるかによって、相場が変わってきます。
そのため、現在ご所有の空き家を建て替えるための相場を知るには、複数のハウスメーカーや建設会社に土地活用プラン請求や建て替えプラン請求をし、建築プランごとに比較するのが最も良い調査方法と言えます。
例えば、一軒家の建て替えプランだけで平均を出す、アパート経営プランだけで平均を出すようにすれば、ご所有の土地で建て替えるときの、平均相場がわかるようになります。
どのプランも、詳細なデータと写真やイラストの入ったわかりやすいものですので、たくさんのプランを見比べていくうちに、相場感がつかめる様になり、さらに気に入ったプランを見つけることができます。
どのタイプの建て替えであっても、同じようなグレードのプランの値段を平均したものが相場ということになります。
平均相場は数が多いほど正確になりますので、一回の入力で最大10社にまで一度にプラン請求が可能な、NTTデータグループが運営する「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求をご利用になり、たくさんのハウスメーカーや建築会社にプラン請求をしてください。
気になるプランがあれば、現地調査に来てもらい、土地と建物、周辺エリアの状況も含めた上で、土地からの利益が最大化できるプランを提案してもらうことができます。
2-5.空き家建て替えに使える補助金の調べ方
自治体によっては、空き家の建て替えで補助金が受けられることがあります。どの自治体にとっても空き家があることは、街並みやエリアの安全性に影響しますので、空き家の解体や建て替えに関しては積極的なサポート体制があります。
基本的に、解体工事代金の一部を負担と、建て替える際の省エネ化の補助(太陽光発電パネル設置・ZEH支援事業など)をしてくれます。
どのような制度があるかは、自治体によって違いがあるため、建替えをする自治体の情報を調べてください。例えば検索窓に「〇〇市 補助金」と入れて検索すると、関連する自治体の補助金制度などが出てきます。
最新の助成事業は、自治体のホームページまたは広報誌での告知があります。ただし、ネットや広報での告知がある場合でも、詳細確認や申請申込は窓口か郵送になることが多いので、自治体に直接足を運ぶか電話で確認してしまう方が、わからないことをその場で説明してもらえます。
また、独立行政法人の運営する経営情報のポータルサイトにも助成金情報の掲載があります。ただし、こちらのサイトは、自治体が助成金などの掲載依頼を出していない場合は、補助金や助成金の制度があっても、情報が掲載されていないので注意をしてください。
【参考:独立行政法人 中小企業基盤整備機構】
3.空き家の建て替えパターンと利回りめやす
空き家の建て替えのタイミングで、住居以外に、賃貸経営という形で土地活用をすることもできます。とくに、空き家がある場所が賃貸経営に適した条件を持っていた場合は、賃貸経営の可能性も検討しておくと、土地からの利益をより大きくし、資産を増やせる可能性が高まります。
以下の表は、空き家建て替えのタイミングでスタートできる土地活用の可能性をまとめたものです。
各構造坪単価は、本記事で解説したものを使っています。
建て替え内容 | 工費めやす | 賃貸部屋数 | 年間賃料収入めやす | 利回りめやす※ |
---|---|---|---|---|
今と同じ木造戸建て住居 | 7,700万~1憶円 | 0 | なし | – |
1 戸建て賃貸 | 7,700万~1憶円 | 1 | 288万円 | 2.89~3.74% |
2 賃貸併用住宅 | 9,700万円 | 5 | 540万円 | 5.6% |
3 木造アパート経営 | 9,700万円 | 10 | 1,080万円 | 11% |
4 マンション経営 | 2億4,000万円 | 20 | 2,160万円 | 9% |
5 リノベーション | 7,700万~1憶円 | 0~1 | 240万円 | 2.4~3.1% |
※利回りには表面利回りを採用しています。実際の経営には経費などを含めた実質利回りが適用されます。
3-1.戸建て賃貸
戸建て賃貸とは、一軒家を賃貸に出して、賃料収入を得る土地活用方法です。人に貸してご自分では住まないので、オーナーがご自分のマイホームを持っている、または賃貸住宅を借りていることが前提です。
戸建賃貸をするためには、空き家を人に貸して、賃料を得ても良いレベルの家にしておく必要があります。空き家が築20年を経過していて、さらに人の住んでいない期間が長くなっている場合は、配管などが傷んでいる可能性があります。
そのままで貸してしまい、入居者が住んでいる状態で問題が起きると大きなトラブルの元になりますので、人に貸すのであれば、新規に建て替えてしまうことをおすすめします。
費用めやすなどは、以下の通りです。
- 総工費めやす:延床面積100坪×木造坪単価77~100万円=7,700万~1憶円
- 賃料めやす:エリア相場による 都内23区平均で24万円程度
- 表面利回り:(年間家賃収入÷物件価格)×100
(24万×12か月=288万円)÷7,700万円~1憶円×100=2.89~3.74%
3-2.賃貸併用住宅
賃貸併用住宅とは、一つの敷地に、オーナーがマイホームとして住む部分と、賃貸に出すアパート部分が両方あるタイプの物件です。ミニアパート付きマイホームと考えると、わかりやすいと言えます。
賃貸併用住宅の良さは、マイホーム部分の大きさが全延床面積の50%以上であれば、全額を住宅ローンの融資で建てられるところです。金利も安くて返済期間も長く、賃貸部分の土地活用で得た収益を返済に回せますので、実質上、マイホームがタダで入手できます。
今回の例では、空き家の延床面積が100坪分ありますので、マイホーム部分には50坪以上が必要です。
50坪分をマイホームにした場合、残りの土地活用に使える部分が50坪(165平米)ですので、30平米のワンルームが5室分作れることになります。
基本的な費用の出し方は木造住宅と同じですが、アパートの部屋数分だけ、一軒家に必要な建具や設備が余分にかかりますので、坪単価は高い方の金額で出しておけば想定内に収まりやすくなります。
費用目安は、以下の通りです。
- 総工費めやす:延床面積100坪×木造坪単価97万円=9,700万円
- アパート部分:50坪分(165平米)に30平米の部屋を5室
- 賃料めやす:エリア相場による 都内23区平均で9万円程度
- 表面利回り:(年間家賃収入÷物件価格)×100
(9万×5室×12か月=540万円)÷9,700万円×100=約5.6%
3-3.アパート経営
建て替え予定の敷地に、全室を賃貸に出すアパートを建築し、入居者からの賃料を収入とする土地活用です。一軒屋が建っていた敷地に建てますので、アパートを建てるためには、ある程度の広さが必要です。
土地活用としては60坪以上の敷地面積があることが理想ですが、それ以下の大きさでも、アパート経営をしている土地オーナーもいらっしゃいます。
アパートは木造が多いので、構造坪単価は木造の値段になりますが、部屋数だけ建具や設備が必要になるので、高めの坪単価で計算しておけば想定の範囲に収まりやすくなります。今回は、一軒家が建っていた土地で木造アパート経営をした時のケースで、シミュレーション計算をしました。
- 総工費めやす:延床面積100坪×木造坪単価97万円=9,700万円
- 部屋数:100坪(330平米)に30平米のワンルーム10室
- 賃料めやす:エリア相場による 都内23区平均で9万円程度
- 表面利回り:(年間家賃収入÷物件価格)×100
(9万×10室×12か月=1,080万円)÷9,700万円×100=約11%
3-4.マンション経営
建て替え予定の敷地に、全室を賃貸に出すマンションを建築し、入居者からの賃料を収入とする土地活用です。一軒屋が建っていた敷地に建てますので、ある程度の広さが必要です。
土地活用として効率の良いマンション経営をするためには、最低でも60坪以上の敷地があることが望ましいと言えます。
敷地が60坪以下の場合は他の土地活用方法を選択したほうが、土地からの利益を最大化しやすくなります。
鉄筋コンクリート造のマンションになると構造が強いため、6階建て以上の高層の建物も建てられるようになり、より多くの部屋数を確保できます。
今回は、現在空き家となっている家屋が木造2階建てであることを前提に、一軒家の倍の高さまで建てられる(鉄筋コンクリート造の4階建て)土地条件でシミュレーションをしました。
- 総工費めやす:延床面積100坪×2倍×鉄筋コンクリート造坪単価120万円=2億4,000万円
- 部屋数:200坪(約660平米) 30平米のワンルームを20室
- 賃料めやす:エリア相場による 都内23区平均で9万円程度
- 表面利回り:(年間家賃収入÷物件価格)×100
(9万×20室×12か月=2,160万円)÷2億4,000万円=9%
3-5.リノベーション
リノベーションとは、今ある空き家の土台や構造を残し、建物全体または一部を作り替えることです。リノベーションでは、床下や天井まではがした大がかりな工事ができるため、水回りの位置を変える・間取りを変えるなどが可能になり、リノベーション後は、ほぼ新品同様の仕上がりになります。
土地に接している道路面積が少ないなどの理由で、建物を取り壊すと新規の建築ができない再建築不可物件や、手入れの良い空き家であるため全部壊すのはもったいない場合には、リノベーションという選択肢があります。
ただし、同じリノベーションでもすべての配管をやり直すフルリノベーションと、室内の一部を直すリノベーションとでは、かかる費用も工期も大きく違ってきます。フルリノベーションにした場合は、新築を建て替えるのと費用はほとんど変わらなくなります。
どの程度の手を加えるかは、実際に配管や屋根の状態などを調査したうえで決めることになります。今回は、構造だけを残して全部を取り換えた前提でシミュレーション計算をしています。リノベーションをした家は、ご自身で住むことも、戸建賃貸として貸し出すこともできます。
- 工費めやす:延床面積100坪×木造坪単価77~100万円=7,700万~1憶円
- 賃料めやす:エリア相場による・都内23区平均で24万円程度
リノベーションは新築ではないため2割減で約20万を想定 - 利回り:(年間家賃収入÷物件価格)×100
(20万×12か月=240万円)÷7,700万~1憶円=約2.4~3.1%
4.建て替えで賃貸経営を選ぶ5つのメリット
空き家の建て替えタイミングで、土地活用の一つとして賃貸経営を選ぶと、どのようなメリットがあるのかをまとめています。建替え前のタイミングでしか検討できないことですので、ご自宅としての建て替え案とあわせて検討してみてください。
- 土地を無駄なく活用できる
- 安定した賃料収入が得られる
- 少ない自己資金でスタート可能
- 土地建物を次世代に遺せる
- 節税効果が高い
4-1.土地を無駄なく活用できる
マイホームとしての戸建ては、そこに自分が住むことが前提ですので、あまり効率を重視せず、比較的ゆったりと使った作りにする傾向にあります。
しかし、賃貸経営をする場合は、敷地の形や条件に応じて、無駄なく敷地を使う設計をしますので、土地から最大限の利益が出るように活用できます。
4-2.安定した賃料収入が得られる
賃貸経営をすると、安定した賃料収入が入るようになります。もちろんローンを組んだ場合は返済がありますが、その返済原資も賃料収入です。
そのため、空室リスクが発生しない限り、オーナーがローン返済を負担する必要がありません。返済プランによっては、毎月、お小遣いを発生させることも可能です。
ローン完済後は、毎月の経費を差し引いた分が全額収入になりますので、副収入や、定年後の老後資金としても使えます。
4-3.少ない自己資金でもスタート可能
空き家の建て替えから土地活用をする場合、土地と新しく建てる建物の両方を担保にした融資ですので、少なめの自己資金でも土地活用がはじめられます。
一般的な不動産投資の場合、土地を探して買うところからがスタートですので、同じ不動産への投資であっても、土地活用はかなり有利に、そして安全な賃貸経営がスタートできます。
ただし、自己資金が少な目とはいっても、総工費の2割程度の準備はしておいた方が良いと言えます。土地活用での賃貸経営の場合、ご所有の土地から建てられる建物の規模もある程度決まってきますので、自己資金が用意できる範囲の建物や、土地活用方法を選ぶという選択肢もあります。
4-4.土地建物を次世代に遺せる
ご自分が働いて得た不動産や、親世代が苦労して遺してくれたものは、心理的には、子世代孫世代と長く受け継いでいきたいと思うものです。空き家を建て替えて賃貸経営をすることで、収入も発生し、資産を今よりも拡大した状態で、次世代に引き継いでいける可能性がうまれます。
また、賃貸経営と言うスタイルにすることで、土地建物の管理はすべて管理会社に一任できますので、空き家として持っていた時よりも、かえって管理の手間がなくなり、家も傷みにくくなり、世代をわたった維持がしやすくなります。
4-5.節税効果が高い
賃貸住宅が建っている土地は「貸家建付地」として、相続税の評価額が下がります。また、人に貸している建物もマイホームとして使っている家屋よりも相続税評価額が下がります。
このようなことから、ご所有の空き家となっている家を賃貸経営にしておくと、将来の相続税対策への準備になります。
また、不動産の所有者が毎年支払う固定資産税は、空き家が建っている状態であれば更地の1/6になりますが、この制度の影響で全国に空き家が増えているという実情があります。
そのため、各自治体では、自治体の決めたルールに則って、空き家に対して建て直し勧告をし、将来的には強制取り壊しまでできるような強い条例を創設しているところが増えています。
代わりに、空き家の建て替えをするための取り壊し費用や埋蔵物の撤去費用などは、自治体からの積極的な補助金サポートがありますので、空き家の建て替えはしやすくなっている傾向にあります。
5.空き家建て替えのパートナー会社の選び方
空き家建て替えをする際には、建て替えのための建築プランや、賃貸経営などを含めた土地活用全般の可能性を探るために、土地活用プランを請求します。
その際には、はじめての建て替えに伴走してくれる、パートナー探しも兼ねています。空き家建て替えのパートナー会社の選び方として、以下の3つを意識してプラン請求をしてみてください。
- たくさんの建築プランを比較する
- 他にも適した土地活用方法がないかを確認する
- 複数の会社に現地調査をしてもらう
5-1.たくさんの建築プランを比較する
まずは、たくさんの建築プランを請求してプランをよく比較してください。最初にプラン請求をする際には、建て替えプランの請求だけでも構いませんが、かならず、「土地活用」「賃貸経営」に関したプランも追加で請求してください。
プラン請求をする際の備考欄に追記するか、プラン請求資料が添付されているメールに返信をする、または現地調査の際に、口頭でお願いするようにします。
将来のパートナー候補となる会社の担当は、オーナーにどのような意思があるのかを良くヒアリングしたうえで、いくつかの提案をしてくれるという特徴があります。また、現地調査の際には、実際の土地の場所や周辺エリアの事情も含めた、適切な提案ができるかも確認してください。
5-2.他にも適した土地活用方法がないかを比較する
土地活用には、土地の条件以外にも、エリア条件というものがあります。パートナー候補にふさわしい会社は、オーナーの希望を鵜呑みにすることはしません。
例えば、土地条件から高さのある建物が建てられない、周辺でマンション賃貸の需要が期待できないなど、出来ない理由をハッキリと伝えてくれて、その上で、より適切な土地活用候補の提案があります。
新しいプランが提案された場合は、なぜそのような判断になったのかをよく聞いて、納得のいく説明が得られるかも重要です。また、新しいプランは必ず他社の類似プランとも比較してみる必要があります。
気になることがあれば「A社さんではこう言っていたんだけど…」と、素直に相談してみるのも良いアイデアです。企業各社は、それぞれ得意としていることが違いますので、A社が提案してもB社C社では提案がないこともあります。
そのような不安や疑問にも丁寧に答えてくれる誠実な会社や担当者は、パートナー候補として有力です。
5-3.複数の会社に現地調査をしてもらう
プラン請求をたくさんしても、現地調査は1~2社くらいしかしないケースがあります。しかし、可能な限り、プラン請求をした全社に、現地調査もしてもらうようにしてください。
プラン請求の段階で得るプランは、簡易プランといって、机上データからおこした簡易的なプランです。そのため、はじめての土地活用で請求した資料を見比べても、「どれも似たようなプランだな」という印象を持つことがあります。
このような場合、どうしてもプランの中のデザインや値段だけで、現地調査に来てもらう会社を絞り込んでしまうことがあります。しかし、ほとんどのハウスメーカーや建築会社では、現地調査をすることを前提にして簡易プランを出しています。
現地調査には最低でも5社以上の会社に来てもらい、そのうえで、具体的なプランをもとに比較するようにしてください。
数多くのプランを請求するためには、一回の入力で最大10社までのプラン請求ができるNTTデータグループが運営する「HOME4U オーナーズ」の一括プラン請求がおすすめです。
簡易プラン、現地調査、現地調査後のプランのどれも無料でできますので、納得のいく空き家のたてかえと、新しい土地活用の可能性を探るためには、なるべく数多くの現地調査をしてから絞り込むようにしてください。
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