
マイホームを建てると同時に賃貸物件のオーナーにもなれると人気の「賃貸併用住宅」。
しかし、戸建て住宅に比べると建築費用が高額になるため、なんとしても失敗は避けたいところです。
ご自身が所有している土地に賃貸併用住宅を建てたいと考えているけれど、まずはしっかりとした情報を仕入れて、成功の足掛かりにしたいという方に向けて、賃貸併用住宅を建てた後にありがちな失敗の代表的な事例と対策とあわせてご説明します。
賃貸併用住宅の失敗にはどのようなものがある?
賃貸併用住宅の代表的な失敗事例と、それらへの対策は以下の通りです。
- プライバシー上の問題・・・オーナーと入居者が顔を合わせる機会を減らすために、(出入り口などの)生活動線を分ける
- 騒音の問題・・・防音性を高めるための建築、あるいは「縦割りの間取り」を採用する
- 月々のローン返済をカバーできるだけの賃料収入が得られていない・・・設計段階から、入居者集めのノウハウが豊富なハウスメーカーをパートナーにつけておく
- 賃貸経営が上手くいかず、売却して手放そうにも買い手が見つからない・・・そもそも売却が必要な状況に追い込まれないよう、入居者集めに強いハウスメーカーの協力も得ながら、賃貸経営を軌道に乗せる
- 入居者からのクレーム対応に労力を奪われる・・・オーナーが隣に住んでいると認識させないためにも、(出入り口などの)生活動線を分けたうえで、入居者への対応は管理会社へ任せる
- 入居者の入れ替わりのタイミングで修繕費用を払えない・・・事前に入居者から“敷金”を受け取り、予想を上回る修繕が必要となった際に補填できるようにしておく
- 不動産管理会社からサブリース契約を打ち切られ、空室分の家賃を得られずにランニングコストをカバーできなくなる・・・当初からサブリース契約を過信せず、オーナー自身で賃貸需要を調べて把握し、自宅が賃貸経営をするのに適した立地かどうかを冷静に判断する
詳しくは「賃貸併用住宅の失敗事例」をお読みください。
Contents
1.賃貸併用住宅の失敗事例

大変メリットの多い賃貸併用住宅ですが、オーナーと入居者が同じ建物内で生活するという特殊性から、一般的な賃貸住宅に比べて難しい点もあります。
賃貸併用住宅でよくある失敗例とその対策を具体的にみていきましょう。
1-1.失敗事例1 :プライバシー上の問題
「入居者と顔を合わせるのが気まずくて、以前のように気軽に家を出入りできなくなった…」
賃貸併用住宅はオーナーの顔が見えるという安心感がある反面、常に見張られているようなイメージが先行し、入居者から敬遠されることも少なくありません。
また、お互いの接触によってストレスを感じるのは入居者の側ばかりではなく、オーナーの側としても入居者と顔を合わせることに気まずさを感じることがあります。
例えば、以前はコンビニに買い物に行く時など、近場へ出かけるときに何も気にせず、着の身着のままで出かけられていたにも関わらず、賃貸併用住宅にして隣に入居者が出入りするようになったことがきっかけで外出に気を使うようになったり…と、ライフスタイルが一変してしまうオーナーさんの例も珍しくありません。
対策としては、出入りの動線を分ける(入り口を別々にする)など、設計の段階で入居者と移動経路が重ならないよう計画する必要があります。
1-2.失敗事例2 :騒音の問題
「入居者の足音が寝室に響いて夜も眠れず…」
騒音のトラブルは、下の図のようにオーナーと入居者のどちらかが上の階になる「横割りの間取り」で生じやすい問題です。

オーナーの自宅が下で、入居者が上の階で生活する場合、住宅の構造や入居者のマナー次第では、オーナーは上から響いてくる音に悩まされてしまうことがあります。
特に、オーナーの寝室と入居者の水回り(シャワールームや台所、トイレなど)が近いと、水の音が気になって安眠を妨害されてしまうケースもあります。
逆に、オーナーの自宅部分が上の階で、入居者が下の階の場合だと、オーナーの立てる生活音が入居者のストレスとなり、クレームが入ってしまうケースもあるようです。
特に、オーナーに小さなお子さんがいる場合は、子どもの足音が下に響かないかどうか気になり、たとえ実際にはクレームが入らなくても気疲れしてしまう、といった声もよく聞かれます。
対策としては、予算の許す範囲内でできる限りの防音対策(具体的には遮音材などを材料に使ったり、木造よりも防音性の高い鉄骨造の構造を採用する等)を実施するほか、契約時に音のマナーに関するルールを徹底することを念押しするなどが挙げられます。

この間取りであれば、どちらかの階が上になることによって表面化する騒音の問題を抑えることができます。
1-3.失敗事例3 :利回りの悪い物件
「利回りが想定を下回って、会社からの給料でローン返済を穴埋めするはめに…」
賃貸併用住宅は通常の戸建住宅よりもサイズが大きく、建築のための費用や土地代が多めにかかってきます。
それに伴って、借り入れる住宅ローンや不動産投資ローンの額も大きな額になりがちです。
したがって、多額の住宅ローンの返済額をカバーできるだけの家賃収入を得られてはじめて賃貸経営としての採算が取れるのですが、万が一、空室が埋まらない状態が続いてしまうと「家賃収入だけでは返済額を賄えなくなってしまう…」という状況も十分に考えられます。
もしも家賃収入で返済額をカバーできないとなると、不足分はオーナーが会社からもらっている給料などで穴埋めしなければならない、ということになりかねません。
空室リスクを防ぐためには、入居者集めのノウハウを持ったハウスメーカーに設計・建築の段階から依頼することがベストです。
1-4.失敗事例4 :売却しにくい
「賃貸経営が思うようにいかず手放したいけれど、売却しようにも買い手がなかなか見つからない…」
賃貸併用住宅は一般の戸建住宅とは形状が異なり、さらにアパートやマンションなどの集合住宅とも違うため、いざ売ろうとしてもなかなか買い手が見つからないという難点があります。
また、オーナー家族が住む自宅部分と切り離して賃貸部分だけを売却できるケースというのもなかなかありません。
賃貸併用住宅に関しては、「うまく売れるように頑張る」よりも「売る必要がある状況に陥ることを防ぐ」ことが重要です。
「売る必要がある状況」というのはほとんどの場合、「賃貸経営の収益が思うようにあがらず、手放さないと利益面が苦しい」というようなケースなので、まずは「賃貸経営で収益をしっかりあげる」ことが大切です。
したがって1-3.で紹介したのと同様、入居者集めのノウハウを持ったハウスメーカーをパートナーにつけることが最善の対策になります。
(万が一売却が必要な事態になっても、やはり豊富なノウハウを持ったハウスメーカーのほうが不動産の売却に強いので、有利に働きます。)
ハウスメーカー選びのコツについては記事の後半で詳しく説明します。
1-5.失敗事例5 :クレーム問題
「物件完成後は自動で収入が得られると思っていたら、入居者からのクレーム処理で案外忙しくてストレスも溜まる…」
賃貸併用住宅の場合は通常のアパート・マンションと違い、入居者のすぐ隣にオーナーが住んでいることもあって、クレームが持ち込まれやすい環境となっています。
(賃貸併用住宅ではないアパートやマンションであれば、管理会社に対応を代行してもらうのが一般的です。)
不動産投資はよく「自動収入が得られる手段」として語られますが、賃貸併用住宅の場合は物件とオーナーの自宅が隣接している分、本来は管理会社が対応してくれる雑事をオーナー自身が対応することになるかもしれないことが難点です。
対策としては、入居者側に「オーナーが隣に住んでいることを知られないようにする」ことが第一です。
したがって、入居者とオーナーが顔を合わせることにならないように動線を分け(具体的な手段としては出入り口が重ならないようにする等)、その上でクレームをはじめとした対応を管理会社へ一任するのが有効です。
1-6.失敗事例6 :修繕費の負担
「入居者が入れ替わるタイミングで部屋を見に行ったら、想像以上に部屋が汚れていて修復に高額なお金がかかりそう…」
賃貸経営を始めると「部屋の経年劣化とそれに伴う改修」に直面します。
通常、入居者が故意に部屋を汚したり壊したりした場合でない限り、部屋の劣化はオーナー自身が負担する必要があります。
入居者の過失で部屋が汚れてしまったり壊れてしまった場合には、現状復帰のための費用を入居者に請求することができますが、必ずしも入居者に支払い能力があるとは限りません。
入居者からの資金回収に時間がかかっている間、現状復帰のための修復やクリーニングを実施するための資金をオーナーが捻出できないと、次の入居者に部屋を貸し出すことができないため、機会損失が生じてしまいかねません。
対策としては、入居者が退去するタイミングで多額の修繕費用がかかってしまう事態に備えて、日頃から資金を用意しておくことが一つの手です。
あるいは、「あらかじめ入居者から敷金を預かり、必要に応じて退去時の原状回復費用にあてる」という方法で対策することもできます。
1-7.失敗事例7:サブリースの落とし穴
「不動産会社に“サブリース契約があるから空室が出ても大丈夫”と言われて建てたけれど、契約更新の際にサブリースを解約されて、この先空室が出るのが心配…」
サブリース契約とは、オーナーが入居者へ部屋を直接貸し出して家賃を受け取る通常の契約ではなく、「オーナーの部屋を不動産管理会社が借り上げ、管理会社からオーナーへ賃料が支払われる」仕組みのことです。
この仕組みは「入居者が入らず空室の場合でも家賃を確保するための保証」としての性質を持っていますが、サブリース契約さえ結べば安心かというと、そうとは言い切れない側面があります。
というのも、不動産管理会社の側から「家賃保証額の減額(つまりオーナーへ支払う賃料の引き下げ)」がある可能性もありますし、あるいは「サブリース契約自体の解約」を申し出られるリスクもあります。
そのため「サブリース契約を結んだから、空室が出ても安心」と考えるのは早計なのです。
まずはオーナー自身が“空室保証”などをあてにせず「この場所に賃貸併用住宅を建てたとして、住まいを探している人にとって魅力的か」という視点を持ち、周辺の賃貸需要などについて自分なりに調べることが大切です。
2.賃貸併用住宅経営の失敗を回避できるハウスメーカーを選ぶためのポイント
賃貸併用住宅にありがちな失敗は、賃貸併用住宅の実績とノウハウのあるハウスメーカーに管理などを依頼することで回避することができます。
以下、「安心して相談できるハウスメーカー」を選ぶために必要不可欠なポイントについてお伝えします。
2-1.ハウスメーカーの提示する「経営プラン」
多くの大家さんはアパートを建築するタイミングで、建築にかかる費用や工法、出来上がる物件などのことばかりを気にかけがちですが、出来上がった後の収益を左右する要素として「完成前・完成後の経営プラン」も非常に重要です。
各メーカーが提示しているランニングコストや収支計画をチェックすることによって「より具体的で現実性が高い計画」を掲げている会社を選ぶことが重要です。
(各社ごとに、意外なほど内容の差があるのがお分かりいただけるはずです)
ハウスメーカーごとのプランについては「HOME4U オーナーズ」を使って複数の企業の経営プランを一括請求することができますのでご活用ください。
2-2.ハウスメーカーの規模
大手ハウスメーカーのアパートはもともと施工の質が高いので、劣化しにくく、修繕費も最小限で済みます。
また、手厚いアフターサービスが付いていますので、長年に渡り建物のコンディションを維持することができます。
大手ハウスメーカーで物件を建てた方の声を聞くと、きまって「アフターサービスが良い」という答えが返ってきます。
中小のハウスメーカーも「大手にはできない細やかなサービスを提供できる」というイメージを消費者に持たせようとアピールしていますが、少なくとも「大切な資産を形成する」ことを第一に考えればでは、やはり大手ハウスメーカーに建ててもらうのが安心です。
2-3.アパート管理の知見・実績
アパートメーカーには「アパートの管理」も併せて行うor管理業務の子会社を持っている会社もあり、そこで得たトラブル回避の知見を建設時に活用できればトラブルの回避も容易になります。
管理業務を任せるかどうかはオーナー様の判断になりますが、知見を最大限提供できる、そしてしてくれるメーカーを選ぶと良いです。
2-4.問い合わせへの対応
問い合わせへの応対が手厚い会社であれば、実際に契約を結んだ後のフォローの質にも期待できるでしょう。
気になるハウスメーカーがあれば、事前にメールで相談してみて、担当者がどれぐらい丁寧に応対してくれるかを確かめるのも一手です。
「HOME4U オーナーズ」では、オーナー様の懸念に応えられるような管理ノウハウを持つアパートメーカーを複数社紹介できます。
是非ご活用ください。
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