本記事では、アパート経営で得られる年収・収入と、支出についてご説明します。
支出入の目安や、アパート経営の収入をあげるコツや「儲ける」秘訣を解説しています。
国税庁が発表している「令和2年申告所得税標本調査」によると、不動産所得の平均は約540万円です。
詳細は「1.年収・収入の平均は約540万円」にて解説しています。
1.アパート経営の年収・収入と支出はいくらか
1-1.年収・収入の平均は約540万円
国税庁が発表している「令和2年申告所得税標本調査」によると、不動産オーナーの平均年収(儲け・所得)は約540万円です。
このデータは「不動産所得額」を算出したもののため、アパート経営以外のマンション経営や戸建て賃貸経営等の様々な不動産活用方法がはいっている点にはご注意ください。
不動産オーナーの年収(不動産所得)は以下の計算で求められます。
不動産オーナーの年収(不動産所得)
= 家賃収入 - 不動産管理・運営に関する支出(経費)
さらに、ここから税金を引いたものが「手取り」になります。
手取り金額 = 不動産所得-不動産管理・運営に関する支出(経費)-税金
出典元:申告所得税標本調査結果(国税庁)
1-2.家賃収入の計算の仕方
毎年の家賃収入は以下の3つの要素から求められます。
- 家賃設定
- 戸数
- 入居率
以下のシミュレーション条件の場合、家賃収入の目安は972万円です。
- 家賃:10万円
- 戸数:9戸
- 入居率:90%
10万円×12ヶ月×9×0.9=972万円
また、家賃収入以外にも以下で収入が得られる場合があります。
収入の項目 | 概要 |
---|---|
礼金 | 入居者からオーナーへと支払われるお礼または謝礼金 |
更新料 | 期間の定めがある賃貸契約を更新するときに、オーナーが入居者に請求できる料金 |
駐車場代 | 月極等で設定する駐車場代金 |
アパート経営による収入に関しては、以下の記事もご覧ください。
1-3. 支出(経費)の相場は家賃収入の15%~20%
不動産管理・運営に関する支出(経費)は一般的に
家賃収入の15%~20%が相場
と言われています。
この家賃収入に対する経費の割合を「経費率」と言います。
以下の記事で支出(経費)等についてまとめていますので、ご覧ください。
2.収入増のコツ
アパート経営で収入を増やす方法として、一般的に大きく以下3つの方法に分類できます。
- 空室を作らない
- 経費を削減する
- 無駄な初期費用を抑える
以下、それぞれ解説していきます。
2-1.空室をつくらない
- 立地を慎重に検討し、入居者の集まり易い場所を選ぶ
- ターゲットにする入居者を明確にし、間取り・設備・内装をそこに合わせる
アパート経営で収入増を図るには、いかに空室率を下げられるかが最も重要なポイントです。
退去者が発生すると次の入居者がくるまで家賃収入が途絶えたり、クリーニング費用や入居者募集費用がかかったり、家賃を値下げして募集する必要が出てきたりと、出費が必要となってしまうことが多くあります。
立地選びや、ターゲットに合わせた間取りの設計等、地域事情に関するマーケティングをしっかり行う事がコツです。
2-2.経費を削減する
- ローンの借り換え
- 火災保険等の保険の見直し
- 光熱費の見直し
- 管理委託料を最適化する
- 修繕費の削減、見直し
収入増を図るためのコツとして、アパート経営をする上で発生する経費の削減は手も付けやすく、効果も出やすいと言えます。
ただやはり必要最低限の経費なので、やみくもに削減するだけでは空き室が増えたり、老朽化が早く進んでしまったりというデメリットもあり、経費は「経費率」という考え方から検討するのがおすすめです。
家賃収入に対してかかる経費の割合を「経費率」と呼びます。
詳細は「3.経費を削減する」にて解説しています。
2-3.無駄な初期費用を抑える
- アパート建築会社を複数社比較して、建築プランを選ぶ
収入増を図るには、いかに「無駄のない建築費用でアパートを建てるか」も重要です。
建築費に充てる「アパートローンの返済額」は経費の中に入ってきますので、単純に借り入れの金額を低く抑えられれば収入が増えます。
また、アパート経営する上で重要な指標になる「利回り」は建築費用も含めた初期費用を元に計算される位、アパート経営をするにあたって基本的に重要なポイントです。
建築費を適切に抑え、長期的な競争力を維持できるアパートを建設するためには、「建築会社を複数社比較して適正な建築プランを選ぶ」事が重要です。
・初期費用シミュレーション
ここで、参考までに初期費用についてシミュレーションをしてみます。
アパート経営を始める際に必要な初期費用は、ざっくり「本体工事費」+「本体工事費」の30%分と言われています。
例えば50坪に鉄骨造3階建てのアパートを建築した場合、総額の目安は1億8,173万円です。
発生するタイミング別に各費用の目安をまとめました。
タイミング | 内訳 | 費用目安 |
---|---|---|
竣工前 | 現況測量費 地盤調査費用 |
130万円 |
着工・竣工時 | 本体工事費 | 1億3,500万円 |
付帯工事費 | 2,700万円 | |
諸費用 | 1,350万円 | |
竣工後 | 入居募集費用 | 90万円 |
経営開始後 | 税金 | 241万円 |
経費 | 162万円 | |
合計 | 1億8,173万円 |
この費用は、建築会社によって、またどのような間取り・内装・設備にするかで大きく変わってきます。
建築会社の提案する建築プランを比較・検討し、地域のターゲットに合った、適正な初期費用額に収まるアパートの建築を行いましょう。
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3.経費率をさげるコツ
経費率は家賃収入に対して掛かる経費の割合を示す指標で、以下の式で求められます。
経費率=年間経費の合計額 ÷ 年間家賃収入
経費率を下げる際は、やみくもに削減するだけでは空き室が増えたり、老朽化が早く進んでしまったりというデメリットもあるので慎重に検討する必要があります。
- ローンの借り換え
- 火災保険等の保険の見直し
- 光熱費の見直し
- 管理委託料を最適化する
- 修繕費の削減、見直し
それぞれについて下記で詳しく説明していきます。
3-1.ローンの借り換え
現在組んでいるローンの見直しを行い、より金利の低いローンに借り換えを行うことで、利息の負担を抑えることができます。
金融機関によって金利は異なるため、同じ金額を借り入れる場合でも支払う利息が異なります。
- ローンの借り換えには手数料がかかるので、金利が下がる分と、手数料分を併せて考えて、利息の支払いが得になるかを考える
3-2. 火災保険等の保険料の見直し
現在契約している火災保険等の保険料の見直しを行いましょう。
補償内容が同じでも、保険会社によって保険料は異なります。
支払い方法を一括から分割に変更することも見直しポイントの一つです。
- 保険料はここ最近値上げの傾向にあるので、変更してすぐ値上がりがないかに注意
3-3.光熱費の見直し
入居者全員が使う「共用部分」の光熱費の見直しを行いましょう。
昼と夜でしっかり点灯・消灯を管理したり、省エネ性能の高い設備機械を使うのはもちろんですが、例えば太陽光パネルの設置を行うことで、自家発電をして発電した電気を共用部分に使用する事もできます。
消費できない電力は売却することで、家賃収入以外の収入も得られます。
3-4.管理委託料を最適化する
アパート経営にかかる支出の中で、賃貸管理会社への管理委託料は大きな部分を占めています。
そのため、適宜見直しをすることで収入を増やせることもあります。
賃貸管理料は毎月払う必要がありますが、家賃の5〜7%が相場。
家賃保証などがつくサブリース契約の場合は、家賃の10〜20%と高めです。
管理会社やサービス内容によってこの料率は変わるので、経営方針にちょうどフィットする価格とサービスを提供してくれる管理会社を比較して探し、切り替えることもひとつの方法です。
- 複数社を比較して検討する
管理会社の変更を検討するには、サービス内容を徹底比較して相談できる「HOME4U オーナーズ」のご利用がおすすめです。全国に対応しており、優良な管理会社を見つけられる無料の相談サービスです。
3-5.修繕費の削減、見直し
アパートは、必ず破損や老朽化によって修繕が必要になります。
修繕が必要になる費用例は、以下です。
- 外壁・屋根の塗装、修理
- ガス、電気、エアコン等の設備交換
- 火災や自然災害を原因とする修繕 等
初期費用は高くつくものの、長持ちする塗装剤を選択したり耐震・耐火性のある建物を建てることでトータルコストを下げる事が可能です。
また、入居率や退去率が下がらない程度であることが前提ですが、居住者の求める水準を下回らない程度に品質を抑えることによって削減する事もできます。
- 過剰品質も、品質を落とし過ぎる事も避け、「適正品質」を慎重に検討しながら行う
詳細は以下の記事にてそれぞれ詳しく解説しています。
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