一つの建物の中で、住む場所と店舗が仕切りなく共存しているものを「店舗兼住宅」と呼びます。これから土地活用で店舗兼住宅の建築をご検討の方向けに注意点などをまとめています。

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記事

更新日
2021.12.21
カテゴリ
土地活用, 記事, 賃貸住宅の新規建築

店舗兼住宅とは?土地活用でマイホームとお店を手に入れる!

店舗兼住宅とは?土地活用でマイホームとお店を手に入れる!

店舗兼住宅とは、仕事場と住宅が一つの家の中にあるタイプの住宅です。カフェ・ネイルサロン・事務所・歯科医院など、ご自宅から続いた場所に仕事場あれば、通勤ストレスもなく、家族といる時間も増えるため、いつかは自宅で店舗をかまえたいと考えている方も多いかと思います。

活用できる土地がある場合には、そこに自宅と店舗の要素が揃った家を建てて、マイホームと自分の仕事場という2つの夢を同時に実現することも可能です。

しかし、店舗兼住宅は、一般的な戸建てとは違う部分も多く、計画をスタートする前に知っておいた方がよいことがいくつかあります。本記事では、店舗兼住宅に関した知識として、建築プラン・間取りのヒント・ローンや控除など知識をまとめています。

アパート・賃貸マンション・賃貸併用住宅・戸建て賃貸住宅など、賃貸物件の建築費の見積もりを取るなら、「HOME4U(ホームフォーユー) オーナーズ」が便利です。

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建築費だけでなく、収支計画や節税効果など、賃貸経営にまつわる様々な項目についても提案が受けられるので、複数社の提案をじっくり比べることであなたに最適な建築プランがどれなのか見えてきます。
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目次

1.店舗兼住宅とは

店舗付き住宅とは、一つの建物の中に、店舗部分と住居部分がある建物のことです。 例えば、一軒家の一階がマッサージ店や理髪店などのお店をしていて、そのお店の奥の部分や、2階部分が自宅になっているタイプの家です。

店舗付き住宅には、一つの家の中に店舗と住宅という二つの要素が入っていますが、定義としては、家の中で店舗と住宅を自由に行き来できる作りになっている家屋のこと です。

生活をする場所と仕事をする場所が一か所にありますので、

  • 時短生活ができる
    通勤不要・子育てや介護などの家事と仕事を両立できる
  • 経費削減できる
    建築費の一部、生活費の一部を経費に計上できる
  • テナントを借りなくてもよい
    店舗や事務所を新しく借りないので固定費が発生しない

など多くのメリットがあり、ライフワークバランスの良い生活が期待できます。

1-1.店舗兼住宅を建てる流れ

店舗兼住宅を建てる際の流れは、一般的な戸建て新築とほぼ同じです。

気を付けるのは、店舗オープンのタイミングに間に合うように建築計画をしておく必要があります。 同時に、住居への引っ越しも考慮したスケジュール調整をします。以下は全体的な流れをイラストにしたものです。

店舗付き住宅新築の流れ

1.計画

複数のハウスメーカーや建築会社から、店舗兼住宅の建築プランを入手して比較します。気に入ったプランがあれば、活用予定地に訪問査定をしてもらいます。最終的な依頼先を決定するまでには、3社以上の建築プランを比較してから選ぶようにします。

2.設計

依頼先が決まったら設計スタートです。オーナーとの打ち合わせを繰り返しながら、設計図面が出来上がっていきます。双方合意したものが出来上がったら、工事が開始します。

3.着工~竣工

必要な場合は地盤改良工事を行ってから、工事が開始します。店舗の什器等は、内装が済んでから搬入されます。外装外構と店舗の外観が仕上がれば完成です。

店舗付き住宅新築はメリットだらけ!成功するための注意点とは

家と仕事場という正反対の要素を一つの家の中にバランスよく作るには、オーナーと家族の希望と要望を上手に吸い上げて、それを建築プランという形で現実化できる、豊富な実績とノウハウを持つハウスメーカーや建築会社が必要です。

実績とノウハウがある優良企業を探しには、一回の入力で複数のハウスメーカーの建築プランや資金計画プランなどが入手できる「HOME4U オーナーズ」をご活用ください。

店舗兼住宅を建てる予定のエリアと広さなどのカンタンな質問に答えるだけで、厳選した日本全国のハウスメーカー・建築会社・建築会社などの中から、相性の良い会社を最大10社までご紹介します。

オーナーと家族にとっては、マイホーム&マイショップという2つの大きな夢が詰まった建築になりますので、できるだけ、理想に近い店舗兼住宅を建てたいのが本音でしょう。資金面・スケジュール面などを含め、最良のプランを選ぶためには、複数のプランを比較して、様々な角度から店舗兼住宅の可能性を探ってみることが大切です。

2.店舗兼住宅を建てる時の3つの注意点

店舗兼住宅を建てる際に、プランニングの段階で注意しておくべき3つのことをまとめています。 店舗と住居が一緒になった家を建てる場合には、一般的な戸建てを建てるのとは、ちょっと違った視点が必要です。

2-1.注意点1 経営がうまくいく立地かを検討する

店舗経営の成功には集客力が必須ですので、これから経営するビジネスで集客ができるような立地・エリアであるかを、先に確認しておく必要があります。 また、立地やエリアが良くても、近隣に強力なライバルがいるのかなども調査をしておく必要があるでしょう。

まずは予定地周辺をご自身で見回ってマーケティングをしたうえで、ハウスメーカーや建築会社にプラン請求したときに、プロから見た意見も確認してみます。立地条件によっては厳しめの意見が来ることもありますが、経営失敗を事前回避できるという意味では、とても貴重な意見です。

2-2.注意点2 居住と店舗は分けて間取り案を考える

普段の暮らしをする住居部分と、仕事をする店舗部分は、発想を分けて間取り案を考えます。具体的には、住居部分には普通の戸建て同様に家族で意見を出し合って、家族にとって理想のマイホームになるようにします。

店舗部分に関しては、ビジネスライクに、どうしたら収益が上がるのか、どうしたら働きやすくなるか、という視点で考えていきます。仕事と住まいの切り替えがきっちりできる設計にすれば、ワークライフバランスの良い人生となります。設計アイデアの詳細は、3章の間取りのヒントを参考に、ハウスメーカーや建築会社の設計担当とよく話し合ってください。

2-3.注意点3 店舗はできるだけ1階で

店舗は、原則として1階にします。2階以上に店舗があると、道路から店舗の認識がしにくいため、どうしても集客力が下がる傾向があり、経営に影響があります。

例えば、カフェ営業をしている場合、1階にあれば、外からパッと見て「入ってみようかな」と思った一見のお客様も呼び込むことができ、気に入ってもらえればリピーターとなり、安定的な売り上げにつながります。

しかし、2階の場合は、外から見たときに店内の雰囲気や賑わいがわかりづらいため、集客力が下がります。ただし、隠れ家的な雰囲気が売上につながるタイプの職種(ネイルサロン・美容室・バーなど)であれば、立地条件などを考慮したうえで、検討してみる価値はあります。

店舗兼住宅を建てる際には、職種なども考慮に入れて考える必要があります。3つの注意点を踏まえた良質な建築プランを比較検討していく中で、これからスタートする店舗経営にぴったりのプランが見えてきます。

優良な建築プランが提案できる企業をお探しの際には、「HOME4U オーナーズ」をご利用ください。HOME4U土地活用は、全国対応・完全無料で、活用予定地の建築プランが、一回の入力で最大10社分まで申し込みできます。

HOME4U オーナーズ」が提携している企業は、大手ハウスメーカーや地域に特化した一流企業のみですので、店舗兼住宅の実績とノウハウがある企業の中から、収益の最大化が期待できる建築プランを選ぶことができます。

3.店舗兼住宅の間取り設計7つのヒント

本章では、店舗兼住宅の間取り設計に役立つ7つのヒントをまとめています。

ヒント1 玄関5タイプ
ヒント2 店舗用トイレの確保
ヒント3 店舗の窓の確保
ヒント4 業者用出入口の確保
ヒント5 バリアフリー
ヒント6 駐車場や駐輪所
ヒント7 セキュリティの確保

店舗兼住宅の間取り設計には、そこに住む人たちの要望の数だけスタイルがありますので、店舗兼住宅の設計プランに正解というものはありません。

しかし、経営・生活ともうまくいきやすい設計というのはあります ので、7つのヒントを参考にしながら、建築プラン選びと設計にお役立てください。

3-1.ヒント1 玄関5タイプ

店舗兼住宅の玄関のつくり方5タイプです。店舗兼住宅の玄関は、道路に面した部分の使い方と、住居と仕事場との動線に関わる部分ですので、ここのつくり方をどうするかは、とても悩む部分です。

今回は、5タイプの玄関のメリット・デメリットをまとめました。※本記事で取り扱う店舗兼住宅は、家の中で住居部分と店舗部分は、共用部分でつながっていることが前提です。

玄関タイプ 向いている店舗
1.玄関併用タイプ 小規模店・営業時間が限定された店
2.玄関別タイプ 歯科・病院などプライバシーが必要な店
3.玄関共用タイプ 来客の少ない店・事務所など
4.アプローチ部分共用タイプ デザイン性や町との融合性を重視したい店
5.玄関共用で階を分けるタイプ 音やニオイの問題を解消したい

3-1-1.玄関併用タイプ

玄関タイプ 向いている店舗
1.玄関併用タイプ 小規模店・営業時間が限定された店

玄関と店舗出入り口が併用のタイプです。古都にある古い家屋や、昔の駄菓子屋さんのような作りです。道路に面した部分に店舗があり、店舗の出入り口を自宅玄関としても使っています。

玄関と店舗出入り口が併用のタイプ

玄関併用タイプのメリット
道路に面している土地の全面をお店のために使えますので、集客力が抜群です。家全体で玄関となる部分を一か所しか作りませんのでローコストになります。
玄関併用タイプのデメリット
家族が店の中を行き来しますので、プライバシー性は低いといえます。

3-1-2.玄関別タイプ

玄関タイプ 向いている店舗
2.玄関別タイプ 歯科・病院などプライバシーが必要な店

歯科医院や病院などによくあるタイプで、住人と顧客が対面する可能性を極力少なくする作りです。

玄関別タイプ

玄関別タイプのメリット
住人と顧客が顔を合わせることがなく、高いプライバシーが保てます。道路に面した土地をすべて店舗用に使うことができますので集客力が上がります。
玄関別タイプのデメリット
1つの家に玄関の造作を2個分作るため、お金がかかります。土地条件によっては、住宅用玄関の位置が制限されます。

3-1-3.玄関共用タイプ

玄関タイプ 向いている店舗
3.玄関共用タイプ 来客の少ない店・事務所など

玄関は一個で、自宅と店舗の共用で使います。玄関に入ってから、別々の入り口を使います。事務所など、あまり来客が多くないタイプのビジネスに向いています。

玄関共用タイプ

玄関共用タイプのメリット
玄関が1個分で済むため、予算を減らしたい場合に適しています。共用部分を上手にデザインすれば、トイレや店舗用キッチンなどの水回りと配管も店舗と共有にすることができ、コストカットにもなります。
玄関共用タイプのデメリット
道路面についている土地の大きさによっては、この設計が出来ないこともあります。また、玄関と共用部分がつながっている場合には、プライバシーが完全に保たれるわけではありません。

3-1-4.アプローチ部分共用タイプ

玄関タイプ 向いている店舗
4.アプローチ部分共用タイプ デザイン性や町との融合性を重視したい店

お店の前や、ドアまでの誘導部分にも演出やデザイン性などが欲しい場合には、道路から店舗入り口までに続く部分(アプローチ)のみを共有にし、それぞれに玄関を設けます。アプローチ部分のデザインをお店のテーマに沿ったものにすれば、自宅用玄関には目がいきませんので、お店全体の雰囲気を壊さずに済みます。

アプローチ部分共用タイプ

アプローチ部分共用タイプのメリット
前出の玄関タイプ2.3の折衷案です。アプローチの部分にオシャレなタイルや装飾などをすると、お店のイメージを損なわずに自宅と店舗両方の入り口として機能します。
アプローチ部分共用タイプのデメリット
実質的には玄関を2つ作り、アプローチ部分には凝った演出をすることになりますので、費用はかさみます。

3-1-5.玄関共用で階を分けるタイプ

玄関タイプ 向いている店舗
5.玄関共用で階を分けるタイプ 音やニオイの問題を解消したい

玄関は店舗と共用で、1階がすべて店舗。住宅は階段で上がった2階にあるタイプです。

玄関共用で階を分けるタイプ

玄関共用で階を分けるタイプのメリット
店舗部分と住宅部分で共用しているのが玄関のみなので、特に音やニオイの問題が解消します。階段で上がらないと住宅には接しないため、生活に関わることは完全に店舗と分断され、プライバシー性が高くなります。
玄関共用で階を分けるタイプのデメリット
店舗兼住宅は、家の中で店舗と住宅部分を行き来できることが前提ですので、階段は内部階段となります。そのため、階段幅を広くとると、その分だけ、家と店舗のスペースが狭くなります。

3-2. ヒント2 店舗用トイレの確保

来客が多い店舗を想定している場合には、可能な限り、店舗用のトイレは別に設置します。配管や水回りと什器の位置と動線を確保しつつ、適切な場所にトイレを作る必要がありますので、設計者の腕の見せ所となります。

事務所などの、そこまで人が来ないタイプの店舗であれば、住宅部分と共用になる玄関近くにトイレを設置します。

3-3. ヒント3 店舗の窓の確保

店舗の窓は大きく取り、外から店内の雰囲気などがわかるようにつくります。道路に面している部分には大きなサッシ窓や、オープンテラス形式の開放型ドアなどで開口部を大きくします。

こうすることで、お店が混んでいるのか、お店はどんな雰囲気なのかなどの情報が、お店に入らなくても伝わりやすくなり、お客様候補の方々に安心感を与えます。

3-4. ヒント4 業者用出入口・バックヤードの確保

スペースに余裕があれば、業者用出入口またはバックヤードを確保しましょう。業者用出入口とは、食材・飲料・資材などの搬入搬出をするための裏口ドアなどのことです。お客様が店舗でサービスを受けている時に、搬入搬出をしなくてもよいように、業者用出入り口が確保できる設計をお願いします。

バックヤードとは、在庫や掃除用具を保管・従業員などが休憩・食事・着替えなどをするためのスペースです。敷地によっては、十分なスペースを確保できないケースもありますので、売上に直結する店内に影響がない範囲で設計します。

3-5. ヒント5 バリアフリー

できるだけバリアフリーな店舗を作ります。バリアフリーとは、段差・階段・勾配がないタイプの床面のことで、足腰の悪い方・お年寄り・子供・車いす・ベビーカーのお客様に配慮したお店のつくりのことです。

配管による床面勾配の関係で、どうしても道路面からの段差ができてしまう場合には、スロープなどを設置し、バリアフリー化することを心がけます。

近年、バリアフリーであることは住宅・店舗・公共施設に限らずスタンダードになりつつあります。また、バリアフリーな店舗は従業員にとっても動きやすく、ケガなどをしにくい働きやすい職場となります。

3-6. ヒント6 駐車場や駐輪所

駐車場・駐輪場は、どのようなお店を経営しているかで、要不要が決まります。

駅からの距離
便利な駅前などであれば不要ですが、駅から離れている場所にお店を出している場合には、車や自転車で来るお客様もいるので、駐車スペースはあったほうが親切です。
お店の滞在時間
お店への滞在時間も、駐車場の要不要に関係します。カフェ・レストラン・美容関係・マッサージなど、お店の滞在時間が60分近くか、それ以上ある場合には、車の駐車場は用意があるほうが安心して利用できるため、リピート率は高くなります。
搬入品の有無
店舗に頻繁に搬入搬出品がある場合は、荷捌き用の場所として駐車場があるほうが仕事はしやすくなります。

どのケースでも、駐車場を作るほどの敷地面積がない場合には、近隣に月ぎめ駐車場を借りることも検討してみます。常時必要ないのであれば、車で来る方が安心して駐車できるコインパークの有無などを確認しておくだけでも十分です。

3-7. ヒント7 セキュリティの確保

店舗兼住宅のセキュリティとして、防犯カメラの設置をします。店舗兼住宅は、普通の戸建てより人の出入りが多い家です。知らない人が家に出入りしていても不審に思われず、家の中に在庫商品やまとまった現金があることもわかっているため、空き巣に狙われやすくなります。

また、店舗から住宅部分にも行き来できてしまうため、住宅にいる人の防犯を含めた安全面の確保も考えておく必要があります。例えば、小さいお子さんやお年寄りが住宅部分にいる場合には、店舗内カメラ以外にも、玄関や共用エリアにも防犯カメラを設置するなどで対策をします。

4.店舗兼住宅が建築できる法律上の条件

本章では、店舗兼住宅に関した法律上の条件をまとめています。建築基準法には、住環保護と商工業の発展を目的とした「用途地域」という制限があり、用途地域に沿ったものを建築します。

土地の使い方が住居用・商業用・工業用など13種に分けられていて、そこに建築してもよい建物の種類と大きさなどが法律で決められています。店舗兼住宅も例外ではなく、建てられるエリアと店舗面積が決まっています。

店舗兼住宅を建てたい場所の用途地域は検索窓に「〇〇県〇〇市 用途地域」などと、エリア名と調べたいことを入れると、検索結果で出てきます。

4-1.第一種低層住居専用地域の場合

第一種低層住居専用地域は、住宅を建てるための地域であることから、原則として店舗を建てることができません。このエリアで店舗兼住宅を建てる場合には、特例として

店舗の床面積が50平米以下、かつ、建築物の延べ面積の1/2未満である住宅に付随する店舗・事務所等

という条件付きであれば建てられます。さらに、店舗で使用する機械などの出力が0.75kw以下というルールが定められています。

50平米は約15坪ですので、かなり小ぶりな店舗になります。一般的な店舗面積は30坪前後であることが多いため、その約半分くらいの大きさですので、お客様の滞留時間が長いタイプの業種だと、すぐ店内がいっぱいになります。

市場に出回っているお店のデザイン・店舗レイアウト・店舗で使う器具や備品・ビジネスモデルなども、30坪前後からのお店を想定しているため、ご自分が店舗兼住宅を建てたい用途地域が第一種低層住居専用地域だった場合には、設計をする段階で

などに、かなり知恵を絞る必要があります。経営できる事業内容に関しては、地域の条例や建築協定、街づくり計画によって細かく制限されている・緩和されているケースがありますので事前確認が必要です。また、店舗兼住宅は、家の中で住宅と店舗に行き来できるような造作のため、将来、賃貸経営に切り替えるのには不向きであることも留意しておきましょう。

4-2.第一種低層住居専用地域内以外の場合

第一種低層住居専用地域以外の用途地域では、店舗の要件が緩和されます。一般的な店舗の広さが確保できますので、美容院・飲食店など、複数のお客様が長時間滞留するタイプのお店も建てられます。

4-2-1. 第二種低層住居専用地域

第二種低層住居専用地域では、2階以下かつ床面積が150平米、機械出力が0.75kw以下という要件を満たせば、店舗兼住宅を建てられます。150平米は約45坪ですので、一般的な大きさの店舗面積になります。

4-2-2.第一種中高層住居専用地域

第一種中高層住居専用地域では、500平米以内の店舗や飲食店の建築が可能になります。500平米は約150坪ですので、かなり本格的な店舗が建てられます。
【参照:建築基準法第3章 都市計画区域等における建築物の敷地、構造、建築設備及び用途  法第 48 条

活用予定地の用途や、建てられる店舗兼住宅の大きさのめやすがわかったら、次は、具体的にどんな建物が建てられるのかをプロに相談しましょう。その際、はじめから会社を絞り込むのではなく、複数の企業に問い合わせをして建築プランを比較するようにします。

良質なハウスメーカーや建築会社からのプランをご希望の方は、NTTデータグループが運営する不動産の一括プラン請求サイト「HOME4U オーナーズ」をご利用ください。「HOME4U オーナーズ」は、活用予定地のエリアや大きさなどの入力をするだけで、全国なるハウスメーカーや建築会社から、相性の良い建築プランを提案できる企業を最大10社分まで無料で一度に入手できます。

5.店舗兼住宅を建てる時に使えるローン

本章では、店舗兼住宅を建てるときに使うローンの話をまとめています。普通の戸建ての場合は住宅ローン、事業を始める場合は事業用ローンでお金を借りるのですが、店舗兼住宅は2つの要素が混在した家ですので、ローンを組むためには、プランの段階でよく考えておく必要があります。

5-1.住居部分は住宅ローン・店舗部分は事業用ローンが原則

結論から言えば、店舗兼住宅で住宅ローンを借りることはできます。ただし、店舗兼住宅の住居部分と店舗部分を分けて申請する必要があるため、住居部分に「住宅ローン」、店舗部分に「事業用ローン」を申請することになります。

店舗兼住宅に対する融資条件は、銀行によって少しずつ違いがあるのですが、以下の2条件は共通しています。

  1. 店舗・事務所を除く居住部分の床面積が、建物全体の床面積の2分の1以上あること
  2. 店舗・事務所が自己使用であること

つまり、建物の半分が自宅、かつ、人には貸さないことが前提であれば、住宅部分には住宅ローンの適用ができます。

店舗兼住宅へのローン取り扱いをしている銀行は多くはないため、基本的に、融資申込先は限定されます。また仮に、住宅部分のローン審査が通ったとしても、同じ銀行で事業用ローンを扱っている・または申請受付をしてくれるかはわかりません。その場合は、2つのローンを別々の銀行で組むことになります。

また、店舗兼住宅への住宅ローン適用に関する対応は、銀行と担当者によって違いがあります。オーナーに経営実績・取引実績・業種などを含めて総合的に判断するため、店舗兼住宅のローンをどのように組むかは、プランができるよりも前に、銀行に相談をしてみたほうが良いでしょう。

このように、店舗兼住宅のローンはひと手間、ふた手間かかりますので、普通の戸建てとは違うということを前提に、店舗兼住宅を建てることを決めたら、早めに銀行ローン申請先と条件などを確認をしておきましょう。

5-2. 住宅部分が建物全体の半分以上を占める場合は住宅ローン全適用も可

店舗兼住宅の半分以上が住宅部分になるケースでは、その建物を「住宅」であるとみなし、店舗兼住宅にかかる費用すべてを住宅ローンで申請できる銀行は増えます。ただし、この半分以上というのが店舗50:住宅50なのか、店舗はそれ以下の割合が必要なのかは、銀行によって条件が変わります。

オーナーがやりたい経営に必要な広さが確保できるかを含めて、店舗兼住宅を建てることを決めたら、早い段階で銀行の無料相談に行き、各銀行が提示してくる、店舗兼住宅を住宅ローンだけで建てられる条件を確認します。このケースでは、ハウスメーカーや建築会社の建築プランは、この提示内容に沿って作ってもらったものから比較するようにします。

住宅ローンの方が事業用ローンよりも金利が安く、返済期間も最高で35年までと長くなりますので、毎月のローン負担が軽くなり、経営も楽になります。条件が合うのであれば、設計の段階から、前向きに検討しましょう。

5-3.住宅ローン控除を受けるために必要な4条件

住宅ローン控除を受けるために、クリアしておかなければならない4つの条件をまとめました。

住宅ローン控除とは、住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)のことで、個人がマイホームを買う・家に増改築などをした時に要件を満たすと、住宅ローン年末残高の1%を所得税から控除してもらえる制度 です。所得税から控除しきれない場合は、住民税から控除もできるという、非常に強力な節税方法です。

店舗兼住宅には住宅が含まれていますので、住宅ローン控除の適用対象になります。 ただし、住宅ローン控除は、店舗兼住宅の中の、住宅部分のローン残高に対してのみ適用されます。

5-3-1.条件1 建物の床面積が40平米以上あること

店舗兼住宅の広さが40平米*以上必要です。次項とも関連しますが、住宅ローン控除が適用されるように店舗兼住宅を建てるには、計画と設計の段階から入念に下調べをし、要件を揃えておく必要があります。
*5-3-4囲み欄をご確認下さい。

5-3-2 条件2 総床面積の1/2以上が住居であること

店舗兼住宅の総床面積の半分以上が住居部分である必要があります。例えば、事務所部分が全体の51%になってしまっていると、住宅ローン控除が適用できなくなります。

建築してからは後戻りができませんので、建築プランと設計の段階で、住宅ローン控除のことを盛り込んで考えておかなければなりません。

5-3-3. 条件3 住宅取得日から6ヶ月以内に住み始めている

住宅を取得した日から6ヶ月以内に住み始め、控除を受ける年の12月31日まで住み続けている必要があります。店舗兼住宅の場合は、普通の引っ越し以外に、店舗オープンもありますので注意が必要です。

仮に、住宅取得日から半年間、前の家に住んだまま店舗オープン準備のために通っていた、または、先に店舗だけオープンさせていた場合には、住宅ローン控除が適用されません。あくまで、住宅部分に「マイホーム」として人が住み始めている事実が必要です。

5-3-4. 条件4 ローン返済期間は10年以上

住宅ローン控除は、返済期間が10年以上のローンを組んで住宅を購入した際に、自分が住み始めた年から、所定額が所得税から控除される税金特例のことです。住宅ローン控除が適用されるのは10年間*までです。

例えば、自己資金が潤沢にあるから・返済期間を短くしたいからと言って、ローン返済期間を10年以下で組んでしまうと、住宅ローン控除の適用から外れてしまいます。

無借金や、完済が早いのは良いことですが、住宅ローン控除はあらゆる節税方法の中でもかなり強力な節税ができますので、基本的には、使う前提で計画をしましょう。

*◆店舗兼住宅は注文住宅です◆

2019年10月に実施された消費税率の引き上げにより、住宅ローン減税の控除期間が従来の10年から13年に延長されています。以下の特別特定取得にあたる場合にのみ適用されます。店舗兼住宅の分譲や建売販売はほぼありませんので、注文住宅の扱いになります。

  • 契約期限
    注文住宅 2020年10月~2021年9月
    分譲住宅等2020年12月~2021年11月
  • 入居期限 2021年1月~2022年12月

上記に当てはまる方は5-3-1.で説明をした床面積要件がこれまでの50㎡以上から40㎡以上に緩和されます。ただし「40㎡~50㎡未満」には合計所得金額1,000万円以下の所得制限があります。

【参照:国土交通省 消費税率引上げに伴う住宅取得に係る対応について
【参照:国税庁 No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等

まとめ

いかがでしたでしょうか。店舗兼住宅に関してまとめました。店舗兼住宅を建てるには用途地域や建築条件などに関してかなり専門的な知識が必要なことがわかりました。また、ローンに関しても、住宅ローン一括でできるタイプと、住宅ローンと事業ローンを合わせて借りなければいけないなど、建築する店舗兼住宅によって違うこともわかりました。

住居と仕事場という二つの要素が入った家で快適に暮らせるように建てるには、やはりハウスメーカーや建築会社などの建築のプロに相談するのが一番といえるでしょう。特に、大手のハウスメーカーには一級建築士が在籍していますので、開業したい店舗の特性などを理解したうえで、適切な建築プランと設計をしてくれます。まずは、複数の店舗兼住宅の建築プランを比較し、自分と家族の理想が叶いやすいプランを、探しましょう。

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