「その他記事 お金・費用系」内の、「土地の維持費と税金、そのシミュレーション」を解説したページです。維持費の内訳や費用相場、費用の負担感などを解説しています。土地の維持費負担を減らす方法についても詳しく紹介している内容です。

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更新日
2023.08.18
カテゴリ
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【徹底解説】土地の維持費(固定資産税・都市計画税)の解説とシミュレーション

【徹底解説】土地の維持費(固定資産税・都市計画税)の解説とシミュレーション

土地をただ所有している方にとって、毎年の固定資産税負担などの維持費の捻出は頭の痛い悩みの一つになり得ます。

例えば、180平米の空き家を有する土地を所有している場合、何もしなくても年間約30万円の維持費負担があります。空き家のない更地の場合は約25万円です。
土地の維持費は活用等によって負担を和らげることが可能です。

そこで本記事では、「土地の維持費」について、維持にかかるお金はどのようなものがあるのか、維持費負担を軽減する方法を解説します。維持費のシミュレーション方法も紹介している内容です。

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この記事のポイント まとめ

土地の維持費には何がかかる?

土地の維持費に挙げられるのは以下の4つです。

【土地の維持費の内訳】

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 除草等の管理費用
  • 保険料や建物の固定資産税

この他、つなぎ融資を利用していると利息の支払いも発生します。詳しくは「土地の維持費内訳と費用相場」で解説しています。

土地の維持費はいくらかかる?

土地の維持費は面積、立地、状況などの影響を受けます。
180平米(固定資産税評価額8万5,000円)の土地の場合、

  • 目安として年間30万円

と試算できます。大きな割合を占めるのは固定資産税です。
詳しいシミュレーションは「こんなにかかる!土地維持費シミュレーション」でご確認ください。

土地の維持費軽減のためにできる対策は?

土地の維持費軽減には土地活用が最適です。維持費軽減を目的とする場合のおススメ土地活用は以下の3つが挙げられます。

【オススメの土地活用3選】

  • 駐車場
  • 借地事業
  • トランクルーム

それぞれの土地活用方法について「【土地の維持費が気になる人向き】土地の活用方法3選」で解説しています。

1.土地の維持費内訳と費用相場

土地は保有しているだけで費用や税金がかかります。
内訳と相場は以下のとおりです。(相場は土地評価額8万5,000円程度の180平米を想定しています)

【土地の維持費内訳と費用相場】
費用内訳 費用相場
固定資産税 15万円程度
都市計画税 3万2,000円程度
管理費用(除草作業費用等) 10万円~1万5,000円程度
保険料・建物固定資産税(建物がある場合) 5万円程度

この他につなぎ融資を受けている場合は、その利息分の返済もかかるケースがあります。また、土地の広さによっても費用は大きく変わります。
以下で詳しく解説します。

1-1.固定資産税

固定資産税とは、1月1日時点の不動産所有者に対して課せられる市区町村税(東京23区内は特例で都税)です。
土地所有者には、毎年、市区町村から固定資産税納税通知書が届き、その納税通知書に基づき納付をします。固定資産税の納税は、通常は4月、7月、12月、翌年の2月の4期に分かれています。

土地の固定資産税額の計算式は以下のとおりです。

【土地の固定資産税額の計算式】

土地の固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%

課税標準額とは、固定資産税額を計算するときに用いる土地の価額のことです。土地の場合、基本的に課税標準額と固定資産税評価額はイコールですが、建物が建っている場合や変形地などは特例措置などの影響を受けるため課税標準額のほうが低くなります。

固定資産税評価額は、地価公示価格(国が調査し発表する客観的な土地価格)の70%を目安としていると言われています。

【図 実勢価格・地下公示・相続税路線価・固定資産税評価額・課税標準額の関係】
実勢価格・地下公示・相続税路線価・固定資産税評価額・課税標準額の関係

地価公示価格は、実勢価格(時価)と連動しており、都市部なら地価公示価格の1.5~2.0倍程度が実勢価格、地方なら1.0~1.1倍程度が実勢価格という関係です。
固定資産税は地価公示価格と連動しているため、同じ面積であれば土地価格が高い都市部ほど税金は高くなります。

1-2.都市計画税

都市計画税とは、市街化区域内に所在する土地または建物に課される税金です。市街化区域とは、都市計画法で定められた、すでに市街地を形成している区域または概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域のことを指します。

都市計画税についても、毎年1月1日時点の所有者に課さ、固定資産税の納税通知書とともに通知があり、納税をします。

都市計画税の計算式は以下のとおりです。

【都市計画税の計算式】

土地の都市計画 = 課税標準額 × 0.3%(標準税率)

都市計画税の税率は市町村によって異なりますが、標準的な税率は0.3%です。
課税標準に関しては、固定資産税と同じものを用います。

固定資産税・都市計画税の基礎知識はこちらをご一読ください。

【基礎から解説】土地の固定資産税の基礎知識と税金計算方法

1-3.除草等の管理費用

土地の維持には、除草費用といった管理のための費用もかかります。
除草に関しては、造園会社などを利用することも多いでしょう。除草は、土地の広さや草の繁茂の状態によっても料金が異なります。

一般的な雑草を除去する草刈り程度であれば、100坪くらいの土地で1回あたり2~3万円程度が相場です。
さらに一括して管理会社に土地の維持を任せている場合は、それ以上の金額がかかります。

全ての管理をオーナー自身でする場合も、散水のために水道を引いていたり、防犯灯のために電気を通していたりすることもあります。光熱費は使用した分だけでなく基本料金がかかるため、たとえ使用しなくても電気と水道を土地に引いていれば年間にして1万5,000円程度がかかる計算です。

1-4.空き家がある場合は保険料・建物固定資産税等

土地の上に古家の空き家が残っている場合には、空き家の保険料や水道光熱費、建物固定資産税等の負担も生じます。
また、空き家には最低でも火災保険をかけておくことが一般的です。

日本には「失火責任法」という法律があり、他人からの「もらい火」で家が焼けても、出火元に重大な過失がない限り、損害賠償を請求できないためです。
また、空き家の電気や水道の契約を切っていない場合には、水道光熱費の基本料もかかります。完全に使わない空き家であれば、電気や水道は契約を切っておくと維持費を節約できます。

さらに、空き家が残っていると空き家の建物に対し固定資産税が生じます。
ただし、空き家が住宅の場合には、空き家が残っていることで土地に対して「住宅用地の軽減措置」という特例が生じるため、土地の固定資産税が安くなります。

【図 空き家の課税標準額 住宅用地の場合と更地の場合の違い】
空き家の課税標準額 住宅用地の場合と更地の場合の違い

空き家が残っていると200平米までの土地の課税標準額は固定資産税評価額の6分の1となります。
そのため、空き家を壊すことで土地の固定資産税が上がってしまい、場合によっては空き家が残っていたほうが全体の維持費が安くなるケースもあります。

しかし、現在は空き家対策特別措置法の施行もあり、長期に空き地を維持するのは得策ではありません。

1-5.つなぎ融資を利用している場合はその利息

ゆくゆくは注文住宅を建てるために、先行して土地を購入しているようなケースでは、つなぎ融資の利息分の返済が生じることもあります。
住宅ローンは建物が完成して初めて融資実行されますので、土地を先行して購入する場合には、つなぎ融資を利用します。

【図 土地購入~家完成までのつなぎ融資の考え方】
土地購入~家完成までのつなぎ融資の考え方

つなぎ融資の返済には2通りあります。

【つなぎ融資の返済方法2つ】

利息分返済が毎月発生するケースでは、注文住宅が完成するまで維持費としてかかります。
つなぎ融資金利は住宅ローンの金利に比べて高く、相場としては2~4%程度です。

2.こんなにかかる!土地維持費シミュレーション

こんなにかかる!土地維持費シミュレーション 電卓

土地の維持費に関しては、ある程度のシミュレーションできます。維持にかかるお金は大きく分けると「税金」と「管理費」の2項目です。それぞれの項目について以下の設定条件で計算します。

【土地の維持費 シミュレーションの設定条件】

【設定条件】

180平米の更地
土地の固定資産税評価額(単価):8万5,000円/平米
課税法標準額の固定資産税評価額に対する割合(負担調整等):70%

2つの項目を足すと、土地の維持にかかる年額はおおよそ30万円程度となりますが、大きな割合を占めるのが税金負担です。

2-1.固定資産税・都市計画税シミュレーション

土地の固定資産税評価額については納税通知書に書かれており、通知書が届けばそれで確認できます。
その他にも、固定資産税台帳を閲覧したり、「全国地価マップ」というサイトを利用して調べたりすることも可能です。

ここで、上記の条件で土地の維持にかかる税金である固定資産税と都市計画税についてシミュレーションしてみます。

【固定資産税・都市計画税シミュレーション】

【税金シミュレーション】

最初に固定資産税評価額を求めます。
固定資産税評価額 = 固定資産税路線価 × 土地の面積
         = 85,000円/平米 × 180平米
         = 15,300,000円

次に課税標準額を求めます。
課税標準額 = 固定資産税評価額 × 70%
      = 15,300,000円 × 70%
      = 10,710,000円

最後に固定資産税および都市計画税を求めます。
固定資産税 = 課税標準額 × 1.4%
      = 10,710,000円 × 1.4%
      = 149,940円
都市計画税 = 課税標準額 × 0.3%
= 10,710,000円 × 0.3%
      = 32,130円
税金(年額) = 固定資産税 + 都市計画税
      = 149,940円 + 32,130円
      = 182,070円

上記は年額です。税金は土地をただ所有しているだけでも必ず納めなければいけません。
また、土地に空き家が現存する場合は、建物に固定資産税・都市計画税がかかります。300万円の課税標準額で4万円程度の負担です。

2-2.管理費等の雑費シミュレーション

以下は土地の維持・管理にかかる費用の一例です。

【土地の維持・管理費用 一例】

これらは実際に使用していなくてもかかります。以下でシミュレーションしてみます。

【雑費シミュレーション】

【雑費シミュレーション】

除草費用(年2回):30,000円
水道代(基本料金のみ・都内):1,170円 × 12ヶ月 = 14,040円
電気代(基本料金のみ・10A):286円 × 12ヶ月 = 3,432円
火災保険料(家屋あり):12,000円
雑費(管理費)= 除草費用 + 水道代 + 電気代 + 火災保険料
= 30,000円 + 14,040円 + 3,432円 + 12,000円
= 59,472円

管理全般を管理会社に委託する場合は、年間10万円程度の費用負担です。
また、空き家など家屋がない場合は火災保険をかけられるものがないため、費用がかかりません。

これら雑費として挙げられる費用は、土地活用で収入が得られるようになれば経費として計上できる勘定科目です。

3.土地は保有しているだけで費用がかかる

土地を所有している方の約4割は維持費に負担感を感じています。
国土交通省「令和2年度 土地問題に関する国民の意識調査結果」によると、土地所有の金銭的負担を感じている人の割合は以下のとおりです。

【図 土地所有の金銭的負担を感じている人の割合】
土地所有の金銭的負担を感じている人の割合

出典:国土交通省「令和2年度 土地問題に関する国民の意識調査結果
かなりの方に、土地の維持費を軽くする対策は必要であるといえるでしょう。土地の維持費は土地活用等によって負担を和らげられます。
また、土地を保有することに負担を感じる理由についてもアンケートを行っています。

【グラフ 土地を保有することに負担を感じる理由】
土地を保有することに負担を感じる理由

出典:国土交通省「令和2年度 土地問題に関する国民の意識調査結果

ここで、注目したいのが半数以上の方が「草刈り等の管理作業に負担を感じる」と答えている点です。費用圧縮のために草刈り等を自分で行っている方も、相当数いるものと推測されます。
さらに「税金や管理費用の金銭的な負担を感じる」という率も4割となっており、金銭的負担を打開するための方法が求められているといえるでしょう。
ただ土地を所有しているだけでは、維持費用の圧縮以外に負担軽減の方法は見出せません。
しかし、土地活用をして土地が収益を出すようになれば、管理を委託する費用を捻出することも可能になります。

4.【土地の維持費が気になる人向き】土地の活用方法3選

維持費負担問題は土地が解決してくれます。解決方法は土地活用をすることです。
この章では土地の維持費の負担を軽くする方法について解説します。どれも暫定利用に向いている土地活用方法です。

4-1.駐車場にする

土地の維持費の負担を軽くする土地活用としておススメは、コインパーキングのような駐車場にする方法です。
土地を駐車場運営会社へ貸せば、賃料収入を得ることができるだけでなく、管理の委託ができる場合もあります。

駐車場は、それほど初期投資が大きくないため、気軽に始められるという点がメリットです。ただし、駐車場の収益性は必ずしも高くなく、地価が高く税負担が大きいエリアでは固定資産税等の維持費を全て賄えないケースもあります。

駐車場経営についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

【基礎から解説】駐車場経営大百科 年収からメリット・デメリットまで

4-2.借地事業をする

立地が良い土地であれば、借地事業を行うという方法もあります。
借地でも、定期借地権であれば、契約期間満了時に確実に土地が戻ってくるため、安心して土地を貸すことが可能です。
中でも、事業用定期借地権と呼ばれる借地事業は地代も高く設定できるため、土地の維持費を十分に賄えます。

借地事業は一般的な土地活用とは異なり、建物投資を伴わずに収入を得られるという点がメリットです。

ただし、事業用定期借地権のような借地は良い土地でないと話がないため、実現できる土地が限られます。また、立地が良ければ自分で土地活用をしたほうが収益性は上がるため、慎重に判断したほうがよいでしょう。

事業用定期借地権について詳しく知りたい方はこちら。

【基礎から解説】事業用定期借地権の大百科 基礎知識から活用の方法まで解説

4-3.トランクルーム経営をする

トランクルーム経営も比較的暫定利用に向いている土地活用方法の一つです。トランクルームは借地借家法の適用外となるため、違う土地活用をすることになっても転用が比較的スムーズになります。
トランクルーム経営の手法は3つです。

【トランクルーム経営の手法3つ】

トランクルームは他の土地活用に比べて初期費用は安く済みます。一括借り上げ方式での経営であれば、修繕費なども大規模でなければ事業者対応で済むことも多いでしょう。維持費が安く済み、管理自体も負担の少ない土地活用方法です。

トランクルーム経営についての全知識をこちらの記事でまとめています。

【トランクルーム経営の全知識】メリットとデメリット、失敗例を解説

5.土地の維持費軽減について相談ができる土地活用会社を選ぶポイント

土地の維持費の負担感を一番軽くする方法は土地活用です。
土地活用といっても、駐車場やトランクルームなどの初期費用が少なく済むものから、アパート・マンションなどの収益性の高いものまでさまざまです。
また、土地活用しても維持費はかかり続けるだけでなく、方法によっては時間と労力もそれなりに消費します。

さまざまな土地活用のうち自分の土地には何が適切なのか、初めて考える方には見当がつかないのも無理はありません。
土地活用のプロであれば、固定資産税の減税につながる土地活用方法や維持の負担が少ない方法を知っています。土地の維持費について悩んだら一度土地活用会社に相談してみてはいかがでしょうか。

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