土地活用でアパート経営がスタートすると、翌年からは確定申告が必要になります。はじめて確定申告をするアパートオーナー向けに、確定申告に関して、やさしい解説をしています。

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更新日
2023.07.12
カテゴリ
アパート経営

はじめてでも安心!アパート経営の確定申告について

はじめてでも安心!アパート経営の確定申告について

アパート経営をスタートして家賃が発生すると、確定申告をする必要があります
確定申告は、前年度の不動産収入をもとに、所得税と住民税を確定させるためのものです。

しかし、いくらからが確定申告の対象なのか、専業ではなく副業としてアパート経営をしている場合はどうするのかなど、はじめての確定申告は、調べても良くわからないことがたくさんあります。

今回は、はじめてのアパート経営や、相続でアパートを引き継いだ方が、ご自分で確定申告ができるために必要な情報をまとめています。

序 1分で分かる!記事の要約

アパート経営で確定申告が必要なケース

アパート経営を始めたオーナーの方、すべてが確定申告をしなくてはならないわけではありません。必要なケースとしては、以下の場合が挙げられます。

  • 給与所得以外の所得が「年間20万円以上」ある
  • 確定申告をしたほうがトクをする方

詳しくは「アパート経営で確定申告が必要なケース」をご確認ください。

自分でやる確定申告の3ステップ

また、自分で確定申告を行う場合、以下の3ステップが一般的です。

  • 収入と経費を計算する
  • 確定申告書類を作成する
  • 確定申告書類を税務署に提出

詳しくは「はじめてでもカンタン!自分でやる確定申告3ステップ」をご確認ください。

アパート経営の確定申告で注意すべき3ポイント

アパート経営の確定申告で注意すべきポイントは、以下の3点です。

  • 適切なタイミングで青色申告にする
  • 確定申告をしなくても毎月の収支は把握し経営に生かす
  • 収支バランスに疑問を感じたら経営の見直しをする

詳しくは「アパート経営の確定申告で注意すべき3ポイント」をご確認ください。

1.アパート経営で確定申告が必要なケース

アパート経営からの収入は「不動産収入」といい、会社などからもらう給与とは別に、ご自分で申告をする必要があります

1-1.給与所得以外の所得が「年間20万円以上」ある

会社の給与や年金以外に、不動産などからの所得が年間20万円以上ある人は、確定申告をする必要があります。この年間20万円とは、家賃収入そのものではなく、家賃収入から経費などを差し引いた、手残りの金額が20万円以上という意味です。

つまり、不動産経営が年間20万円以上の黒字になっていれば、確定申告が必要です。赤字の場合は申告をしなくても良いのですが、次項の「確定申告をしたほうがトクをする方」がいますので、ご自分の条件が当てはまるかを確認してから判断してください。

1-2.確定申告をしたほうがトクをする方

赤字のときは所得がないので、本来ならば、確定申告をする必要はないのですが、確定申告をしたほうがトクなケースがあります。

税法上の話ですが、不動産所得は、会社の給与所得とは分けて考える分離課税という計算をしています。そのため、給与収入の合計に、不動産の赤字をぶつける「損益通算」という税金の計算方法が使えます

会社員の給与収入と不動産の赤字収入とを相殺させるので、年間所得を減らすことができ、所得税や住民税の節税ができます。さらに会社員の場合は、すでに給与から源泉徴収がされていますので、場合によっては、払いすぎた分が還付される可能性があります

アパートに大きな修繕が発生した年などは、大きな経費が発生して赤字経営になることがありますが、このような場合でも、確定申告をすることにより、所得税と住民税の節税が可能になります。

2.はじめてでもカンタン!自分でやる確定申告3ステップ

はじめての確定申告は不安になるものですが、今はネットやスマホ上で必要な項目を埋めていく確定申告のフォーマットがありますので、確定申告の作業自体はカンタンになっています。

しかし、フォーマットへの入力は1年分必要ですので、確定申告ギリギリにやり始めると、かなり大変な作業となります。日ごろからコツコツと記録をしていき、最低でも1~2ヶ月に一回はレシートや領収証を整理し、何にいくら使ったのかを記録する習慣をつけてください。

記帳はExcelなどの表計算ソフトで自作したもの、専用の会計ソフトやアプリを使っても良く、手書きでも問題ありません。大切なのは、オーナーご自身が、アパートからいくら入り、何にいくら使ってきたのかが、ご自分でわかるようにすることです。

確定申告のステップは以下の通りです。

  1. 収入と経費を計算する
  2. 確定申告書類を作成する
  3. 確定申告書類を税務署に提出

2-1.収入と経費を計算する

確定申告は、毎年2月16日~3月15日までの1か月間が、確定申告の受付期間です。確定申告をする準備として、前年度の1月1日~12月31日までに発生した、アパート経営に関わるすべての収入と経費を計算しておきます。

アパート経営の収入には、通常の家賃収入以外に、駐車場代・返済不要な保証金・敷金・礼金が含まれます。これらの不動産総収入から必要経費を差し引いたものが、実際の不動産所得となります。必要経費は本記事4章で解説しています。

2-2.確定申告書類を作成する

多くの場合、はじめてアパート経営をスタートさせるときは、白色申告です。青色申告を選ぶめやすは、アパートやマンションで10室以上ある、または戸建て住宅などを含め、経営するアパートやマンションが5棟以上あるところからです。

国税庁のホームページに、白色・青色それぞれの申告書がありますのでダウンロードして使います。またはお近くの税務署に行けば、手書きの帳票類を無料でもらえます。確定申告に添付する必要のある帳票類は、確定申告書に記載があります。

確定申告書の作成は、普段から経費記録のために会計ソフトやアプリ使っている方は、ネット経由で確定申告書類をカンタンに作成できます。
それ以外の方は、国税庁が提供している「確定申告書作成コーナー」を利用すれば、必要事項を入力すると自動で申告書ができあがります。

2-3.確定申告書類を税務署に提出

書類が完成したら、オーナーの住民票がある税務署に提出します。経営しているアパートが、オーナーの住んでいるエリアと違う場所にある場合でも、オーナーの住んでいる自治体に提出してください。

確定申告書の中には、アパートの住所を書く場所がありますので、固定資産税などはアパートがある自治体で計算されてきます。提出方法は主に以下の3通りです。

  1. 税務署へ持参

    お近くの税務署に、確定申告書類一式を持って提出する方法です。混んでいなければ、受付担当の方が中を確認し、不備がないかなどを確認してくれることもあります。

    多くの場合、申告期間には税務署内外に無料の税金相談窓口が設けられていますので、わからないことを提出前に確認することもできます。

  2. 税務署に郵送

    書類一式を郵送で送る方法です。郵送には普通郵便・レターパック・宅配便などから、任意の方法で送ることができます。

  3. インターネット申告

    国税庁の運営する無料ソフト「e-tax」を使うと、そのままインターネット申請もできます。手続きの際に、電子納税を選択すると、納税額をネットバンキングやクレジットカード決済できます。また還付金がある場合も、ネット申請で振込先を指定できます。

    ネット申請には、事前にマイナンバー登録などが必要となるため、ネット申請をする予定の方は事前登録の準備をしておいてください。登録が済んでいれば、専用アプリを使ってスマホから確定申告をすることもできます。

    【参照:国税庁 スマートフォンとマイナンバーカードを使って申告される方へ

3.アパート経営の確定申告で注意すべき3ポイント

アパート経営の確定申告に関した、注意をすべきポイントを3つにまとめています。

3-1.青色申告にするタイミング

白色申告は基本的に税制上での大きな優遇措置がない代わりに、帳簿が簡易な形式でも問題がない申告方法です。青色申告は最大で65万円控除の優遇措置を受けられる代わりに、帳簿管理は本格的なものが必要になります。

本格的な帳簿は、経理の中でも中級以上の専門知識がなければ作成できませんので、青色を選択した場合は、問題のない確定申告のために、申告書作成と手続きを税理士に依頼する必要が出てきます

ご自分で頑張って申告してもできないことはありませんが、税務署で確認しているのは帳簿の帳尻が合っているかどうかです。万が一、記載に間違いがあれば、確定申告のやり直し、経営状態の指導を受けることになる可能性もあります。

青色申告にするタイミングは、所有するアパートの居室が10室以上、またはアパートや戸建てを含めた賃貸物件を5棟以上持っていることがめやすです。これらの判断は、自治体によって基準に少しずつ違いがあります。

居室数の多いアパートを建てる計画の方や、将来において複数棟のアパートやマンションを所有する予定の方は、アパート経営スタート前の段階で、土地活用をする自治体の税務署に確認の上、税理士にも相談しておくことをおすすめします。

3-2.確定申告をしてもしなくても毎月の収支は記載しておく

本記事冒頭で説明をしましたが、不動産収入から経費を差し引いた金額が、年間20万円以上ないのであれば、原則としては確定申告をする必要はありません。

しかし、「今年は収入少ないから確定申告無さそう…」と思っても、アパート経営をしている以上は、必ず毎月の収支計算をして、アパート経営の現状を把握しておくようにしてください。

アパートは経営しているだけで、ランニングコストがかり、アパート収入から経費分をまかないきれない場合は、オーナーの持ち出しになります。特に、まだローンが終わっていないのであれば、ローン返済額分だけでもアパート収入から返済額を確保する必要があります。

そのためにはリフォームや家賃設定の変更など、オーナーとして経営上の対策を講じなければならず、帳簿をもとに「どの経費を削るべきか」「どこを手厚くするべきか」などを判断していきます。

収支記録がしっかりしていれば、経営対策も立てやすくなります。確定申告の有無に関係なく、アパート経営をしている間は、かならず収支をつけていってください。

3-3.収支バランスに疑問を感じたら…

アパート経営が長くなると、修繕や修理などが増え、だんだんと収支を圧迫していきます。赤字とまではいかなくても、不動産所得が減ってきた場合は、経営の見直しをする必要があります

経営を見直す方法としては、「賃貸管理会社を再検討する」「アパートそのものを建て替える」という大きく二通りの方法をとることができます。

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4.確定申告で計上できるアパート経営の経費10種類

確定申告で「所得」と呼ぶのは、収入から経費を差し引いた金額のことです。
本章では、不動産経営をしている中で、何を経費として計上できるのかを、はじめての不動産経営で、はじめて確定申告をする方でもわかるように、10種類にまとめて説明しています。

経費にならないものは、次章に説明があります。

  1. 各種税金
  2. 減価償却費
  3. アパートの修繕費
  4. 各種保険料
  5. 借入金の利子
  6. 不動産管理会社への管理委託料
  7. 入居者募集の広告宣伝費・仲介手数料
  8. 税理士報酬
  9. 不動産投資・経営に関する書籍代など
  10. その他 アパート経営に必要な費用すべて

4-1.各種税金

経営するアパートに関わる、支払済みの税金が経費として使えます。
アパートを取得した年の登録免許税・不動産取得税・印紙税などの各種税金、毎年の固定資産税などです。

4-2.減価償却費

土地活用におけるアパート建築費は、アパート経営においては必要なコストです。しかし、金額が大きいので、一回に全額を経費として計上することはできません。アパートのような大きな資産は、その建物を使用できる年数で割った金額を経費として使います。これを、減価償却と言います。

アパートの建築費を何年で分割して減価償却するのかは、法定耐用年数という法律で決められた年数を使います。木造のアパートであれば22年、鉄筋コンクリート造のアパートであれば47年という決まりがあります。

例えば、5,000万円の木造アパートを建てた場合は、22年で分割しますので、1年あたり約230万円を経費として家賃収入から差し引くことができます。

4-3.アパートの修繕費

アパート経営中におきた、修理修繕・リフォームなどにかかった費用は、全額が経費となります。
ただし、この場合の「修理修繕・リフォーム」とは、建物や室内の状況を現状維持させるためのものであり、元からある機能を超えて良くすることはできません

元の機能を超えてしまうと、アパートの新しい資産となってしまいますので、注意してください。

4-4.各種保険料

アパート経営にかかる火災保険・地震保険などの支払い済み保険料が経費になります。
数年分をまとめ払いすると保険料が安くなるため、まとめ払いをした場合でも、計上できるのは1年分ごとの金額になります。

自分で計算をしなくても、年末近くになると、保険会社から「控除証明書」というハガキが届きますので、経費として計上できる金額が記載されています

4-5.借入金の利子

アパートローンの利子分は、アパート経営の経費になります。ローン明細の利子のみで、元金は減価償却されます。

4-6.不動産管理会社への管理委託料

アパート管理を不動産管理会社に委託している場合は、毎月の委託料が発生しますので、経費計上します。年度末になると、不動産管理会社から一年間の管理費総額と、年間収支をまとめたものが送られてきます。

4-7.入居者募集の広告宣伝費・仲介手数料

アパートの入居者を募る時に不動産会社に支払うインセンティブ料などの広告宣伝費と、成約したときに支払う仲介手数料はアパート経営の経費です。こちらも不動産管理会社から毎月送られてくる明細と、年度末の年間収支に記載があります。

4-8.税理士報酬

毎年の確定申告を税理士に委託する場合や、税に関する相談をした場合には、委託料や相談料として税理士報酬を支払います。税理士に何かを依頼するときの電話代や交通費なども、経費として使えます

4-9.不動産投資・経営に関する書籍代など

アパート経営をスタートする前の段階で、アパートに関する書籍・雑誌・DVDなどを購入した代金は、アパート経営の経費にできます。また、セミナーなどの参加費、セミナー後の懇親会費、セミナー会場までの交通費・宿泊代もすべて経費です。

経営開始後も、アパート経営に役立てるために使った上記のような費用は、すべてその年の経費として計上できます。

4-10.その他 アパート経営に必要な費用すべて

1~9以外にも、アパート経営に関わることで使った費用は、交通費・雑費・生活用品なども含め、すべて経費として計上できます。また、普段の生活に利用しているものを使ってアパート経営に関した作業などをする場合にも使えます。例えば、以下のようなものも、経費の対象になります。

A 自分のパソコンの表計算ソフトでアパート経営の計算などを管理している
B 自宅の一部をアパート経営のオフィスとして利用している
C 自分のスマホで、不動産管理会社やセミナー主催者とのやり取りをしている

このような経費は「家事按分」と呼ばれています。
生活で使っているものの一部を、ビジネスでも利用する場合には、家事(生活)との事実上の割合において、経費にできます。例えば、上記のものであれば、以下のような按分が可能です。

A 自分のために買ったパソコンの表計算ソフトで、アパート経営の計算などを管理している
パソコンの個人利用が70%、ビジネス利用が30%の場合、10万円以下であれば購入代金の30%分を経費として計上できます。10万円以上のものは、法定耐用年数で割った1年分の減価償却費の30%を計上します。

B 自宅の一部をアパート経営のオフィスとして利用している。
普段は会社員、土日のみアパート経営者として自宅のリビングなどで事務作業をしている場合は、毎月の家賃支払額のうち、一部を事務所経費として計上できます。

本例では一か月のうち約8日間を事務所利用していますので、31日÷8日=約4となり、家賃支払額の約25%までを経費として計上できます。

マイホームの場合でも、毎月の住宅ローン支払相当額の25%までを事務所経費としてアパート経営に経費計上できます。また、一室をすべて事務所として使っている場合は、延べ床面積に対する%で按分することもできます。

どちらの場合でも、利用時間に相当するインターネット代金や光熱費も計上できます。

C 自分のスマホで、不動産管理会社や税理士とのやり取りをしている
スマートフォン購入代金と毎月の支払額も、アパート経営で利用した分を按分できます。土日のみをビジネス利用するのであれば、前項Bと同様、スマートフォンの月額請求金額のうち25%までを経費計上できます。

家事按分による経費計上は、あくまで事実に基づいての按分ですので、実際に使っている割合に沿って正直に申告してください。
また、按分割合は最高で50%程度までが現実的であり、それ以上は、確定申告の際に税理士、または税務署から事実確認をされる可能性があります。

生活とビジネスにまたがって使っているもので、区分けが良くわからない項目はまとめておき、税理士に相談をして確認をしてください。

アパート経営の経費については、以下の記事でも詳しく解説しています。

5.アパート経営の確定申告で経費にできないもの

本章では、アパート経営の経費としては使えないものをまとめています。

5-1.ローンの借入金

ローンの借入金のうち、元本部分は、建築費として減価償却費で計上してあるため、経費として使うことができません。

5-2.所得税・住民税

支払い済みの所得税や住民税は、全年度の所得に対して課されたものなので、今年度の所得額を計算するための経費には使えません。

同じ税金でも、固定資産税は経費になりますが、これはアパート経営を行う上で、土地とアパート建物は絶対に必要なものであるため、必要経費となります。

5-3.アパート経営に直接関係ない費用

プライベートで利用したものは経費の対象外です。例えば外食をするのでも、アパート経営のセミナー懇親会として参加すれば経費になりますが、普段の飲食でかかった費用は当然ながら経費にはなりません。

レシートや領収証などに、誰と行った・何の会合だったかなどを明記しておき、プライベートと分けて管理するようにしてください。

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