この記事では、アパートの相続を検討している方に向けて、アパート経営による相続税節税のメリット・デメリット、失敗事例と対策について解説しています。
アパート経営で相続税対策を行うメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
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詳しくは「1.アパート経営による相続税対策のメリット・デメリット」をご覧ください。
アパート経営による相続税対策のよくある失敗の想定事例として、以下の5パターンが想定されます。
- アパートを賃貸需要の低いエリアに建てて節税効果額が減った
- 相続後に遺産分割で揉めてしまった
- サブリースで収入が下がり、負債が残った
- 小規模宅地等の特例が適用できなかった
- 認知症に備えなかったので経営が行き詰まった
上記のような失敗を回避するためには、次の対策が効果的です。
- 賃貸需要が低いエリアでは無理にアパートを建てない
- 相続前に分割方針を決めておく
- サブリースは慎重に検討する
- 被相続人が元気なうちにアパート経営を始める
- 任意後見制度を活用する
詳しくは「3.アパート経営による相続税対策の想定失敗事例と対策」をご覧ください。
1. アパート経営で行う相続税対策
アパート経営で行う相続税対策は、大きく以下3パターンの手法があります。
- 相続税評価額を下げて節税をする方法
- 生前贈与をして節税をする方法
- あえてローンを組んで節税をする方法
資産をアパートとして相続すると、現金や土地、誰も住まない空き地として相続した場合と比べて、相続税を大幅に節約できます。
アパート経営による相続税対策の具体的な仕組みや計算方法については、以下の記事をご覧ください。
2.アパート経営による相続税対策のメリット・デメリット
アパート経営によって相続税対策を行った場合のメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
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アパート経営は比較的始めやすい賃貸経営であるので実施のハードルが低く、それに伴う相続税評価額の下落分だけでも「約20~50%」相続税を節税できます。
更にローンを借りる(負債を作る)等、様々なテクニックを組み合わせる事で、数十分の1まで圧縮する事も可能です。
ただし、相続税対策のみを目的としてアパート経営を始めると、思わぬトラブルが生じるおそれがあります。
具体的な失敗事例については次の項目で解説します。
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3.アパート経営による相続税対策の想定失敗事例と対策
アパート経営による相続税対策のよくある失敗の想定事例として、以下の5パターンが想定されます。
- アパートを賃貸需要の低いエリアに建てて節税効果額が減った
- 相続後に遺産分割で揉めてしまった
- サブリースで収入が下がり、負債が残った
- 小規模宅地等の特例が適用できなかった
- 認知症に備えなかったので経営が行き詰まった
上記のような失敗を回避するためには、アパート経営を始める前に次の対策を実施しておくとよいでしょう。
- 賃貸需要が低いエリアでは無理にアパートを建てない
- 相続前に分割方針を決めておく
- サブリースは慎重に検討する
- 被相続人が元気なうちにアパート経営を始める
- 任意後見制度を活用する
ここでは、それぞれの失敗事例と対策について具体的に解説します。
3-1.失敗事例①アパートを賃貸需要の低いエリアに建てて節税効果額が減った
相続税対策をしようとしてアパートを建築したものの、「賃貸需要の低いエリアに建てて節税効果額が減った」ということは起きやすい失敗です。
アパート経営をして土地や建物の相続税評価額を下げる節税法を行う際は、「入居率(賃貸割合)」が高い程、評価額が下がります。
入居率100%の状態が最も相続税評価額が低くなりますが、例えば入居率が50%だと、節税効果もその半分しか得られません。
空き室が多く出て入居率が下がった結果、期待していたほどの節税効果が得られなかったという失敗は、起きやすい事例です。
また、空室の多いアパートは家賃収入が少なくなるため、アパート経営による節税のつもりがかえって赤字になってしまうケースも少なくありません。
賃貸需要の低いエリアで、相続税対策のために無理やりアパートを建てるのは避けたほうがよいでしょう。
相続予定の土地がアパート経営に向かないエリアにある場合は、その土地をいったん売却し、賃貸需要の高いエリアに買い替えるのがベターといえます。
3-2.失敗事例②相続後に遺産分割で揉めてしまった
アパートは「建物という平等に分配することが難しい財産であるため、相続後に遺産分割で揉めてしまう」というケースがよくみられます。
相続人が複数いる場合は、相続前の段階でしっかりと話し合い、遺言書等を残しておくことが大切なのはもちろん、相続人が2人いる場合は同規模のアパートを2棟立てておくなど、相続を視野に入れてアパート経営を開始することを心がけましょう。
3-3.失敗事例③サブリースで収入が下がり、負債が残った
サブリースは相続税の節税には効果があるものの、アパート経営においてはリスクがある点に注意が必要です。
サブリースとは、サブリース会社がオーナーからアパートを一括で借り上げ、それを入居者に転貸する管理方式を指します。
サブリースは空室の状況にかかわらず安定した収入を受け取れるうえに、相続税評価額の計算上では賃貸割合が100%になる点が大きなメリットです。
しかし、実際は入居率や年数経過に応じてサブリース会社から賃料減額要求が行われるため、将来的に家賃収入が下がる可能性があり、単に負債を子孫に残すだけの結果になる事もあります。
サブリースを契約する際はサブリース会社が提示するメリットを妄信しすぎず、「入居者が集まるアパートになるかかどうか」を自分でも念入りに情報収集したうえで判断することが大切です。
3-4.失敗事例④小規模宅地等の特例が適用できなかった
2018年4月1日以降、相続の開始前3年以内に賃貸物件が建てられた土地は原則として小規模宅地等の特例が適用できなくなりました。
そのため、相続開始前3年以内にアパートを建てると、小規模宅地等の特例が適用できない点に要注意です。
また、事前に贈与をしていた場合に「相続時精算課税制度」を利用すると、小規模宅地等の特例は使えなくなります。
小規模宅地等の特例を適用して相続税の節税効果を最大限発揮したい場合は、被相続人が元気なうちにアパート経営を開始し、相続に備えておく必要があります。
ただし、小規模宅地等の特例が適用されなくても、土地・建物ともに賃貸部分の相続税評価額が下がる点は変わりません。
3-5.失敗事例⑤認知症に備えなかったので経営が行き詰まった
近年では、長寿命化に伴って認知症の高齢者が増えています。
そのためアパートを建てたあとに被相続人が認知症になり、「被相続人の財産が凍結されてアパートに関わる支払いが滞ってしまった」という失敗事例が多発しています。
財産が凍結されると家族でも本人の預貯金を引き出せなくなります。
その結果、アパートの修繕・リフォームができなくなったり、仲介手数料や管理委託料が払えなくなったりします。
このようなトラブルを防ぐには、被相続人が認知症になる前に任意後見制度の後見人を指名することがおすすめです。
後見人に親族を指定すれば、認知症になったあとも家族が代理人となってアパートなどの財産を管理できます。
ただし、認知症になったあとでは任意後見契約を締結できません。
その代わりに、成年後見人制度が検討できますが、手間と時間がかかるため被相続人が元気なうちに早めに対策しておくとよいでしょう。
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