この記事では、アパートの建築を検討している方に向けて、建築費用の相場と必要な予算を簡潔にわかりやすく解説していきます。

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更新日
2024.02.14
カテゴリ
アパート経営

【基礎から解説】アパート建築費相場と必要予算早わかり

【基礎から解説】アパート建築費相場と必要予算早わかり

この記事では、アパートの建築を検討している方に向けて、建築費用の相場と必要な予算を簡潔にわかりやすく解説していきます。

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STEP1
STEP2
この記事のポイント まとめ
アパート建築費用の相場は?

アパート建築費用の相場は「坪単価」×「延床面積」で知る事ができます。

本体工事費(建築費用) = 坪単価 × 延べ床面積
【構造別の建築工事費目安】
木造
(77~100万円)
鉄筋コンクリート造
(90~120万円)
鉄骨造
(軽量)80~120万円
(重量)90~120万円
30坪 2,310~3,000万円 2,700~3,600万円 2,400~3,600万円 2,700~3,600万円
50坪 3,850~5,000万円 4,500~6,000万円 4,000~6,000万円 4,500~6,000万円
80坪 6,160~8,000万円 7,200~9,600万円 6,400~9,600万円 7,200~9,600万円
100坪 7,700~1億円 9,000~
1億2,000万円
8,000~
1億2,000万円
9,000~
1億2,000万円

※構造名の()内は坪単価

費用相場の詳細については「1.アパート建築における費用相場は?」をご覧ください。

アパート建築に必要な予算と想定される規模

アパート建築の予算別建築プランは以下のとおりです。

【予算別建築プラン】
予算 プラン例
3,000万円
  • 木造2階建て
  • 延べ床面積36坪
  • 1R×6室
5,000万円
  • 木造2階建て
  • 延床面積58坪
  • 1DK×3室、1LDK×3室
1億円
  • 鉄骨造3階建て
  • 延床面積120坪
  • 1DK×12室
アパート建築に必要な資金

一般的に、自己資金とアパートローンの割合は3:7が理想とされています。

借入可能な金額は年収の10倍~30倍が目安となっています。

2023年現在の金利相場は1%~3%台で、都市銀行が2%前後と低めです。

費用相場の詳細については「3. アパート建築に必要な資金」をご覧ください。

1.アパート建築における費用相場は?

アパートを建築する工事費用(建築費用)は、1坪あたりの工事費である「坪単価」と延べ床面積を掛けて計算する事ができます。

本体工事費(建築費用) = 坪単価 × 延べ床面積

また、坪単価はアパートの「構造」によって大きく変わります。

一般的にアパート建築に用いられる「木造」「鉄骨造」の坪単価の全国平均は下記です。

  • 木造:56.1万円
  • 鉄骨造:85.8万円

【参考:国土交通省 建築着工統計調査 住宅着工統計 34表(2022年度)を参考に計算】

ただし、これはあくまでも「予定額」であり、通常は仕様変更などでもう少し単価が上がります。

下記はHOME4U調べによる構造別坪単価の一覧です。

【構造別 アパート建築費の坪単価平均】
構造 坪単価
木造 77~100万円
鉄筋コンクリート造 90~120万円
鉄骨造 80~120万円
(軽量)80~120万円
(重量)90~120万円

上記表をもとに、延べ床面積ごとに計算したおよその建築工事費は下記一覧です。

【構造別の建築工事費目安】
木造
(77~100万円)
鉄筋コンクリート造
(90~120万円)
鉄骨造
(軽量)80~120万円
(重量)90~120万円
30坪 2,310~3,000万円 2,700~3,600万円 2,400~3,600万円 2,700~3,600万円
50坪 3,850~5,000万円 4,500~6,000万円 4,000~6,000万円 4,500~6,000万円
80坪 6,160~8,000万円 7,200~9,600万円 6,400~9,600万円 7,200~9,600万円
100坪 7,700~1億円 9,000~
1億2,000万円
8,000~
1億2,000万円
9,000~
1億2,000万円

※構造名の()内は坪単価

上記の建築工事費の他に、初期費用として「設計料」「その他諸費用」がかかります。
だいたい建築工事費の15%が上乗せされると考えておきましょう。

  • 設計料:建築工事費の5~8%
  • その他諸費用:建築工事費の10%

また、アパート建築する際の自己資金は、最低でも費用総額の10%~30%を準備が必要です。
借入額はアパート経営の利回りを試算して決定し、無理のないアパートローンを組みましょう。

2章以降はアパート建築費用についてシミュレーションを紹介しながらさらに詳しく解説します。

2.アパート建築費用の坪単価相場

アパート建築費用の坪単価の相場について、構造別、地域別に解説します。

2-1.【構造別】建築費用の坪単価相場

アパート建築における構造別の坪単価相場は以下のとおりです。

【構造別 アパート・マンション建築費の坪単価平均】
坪単価
木造 77~100万円
鉄筋コンクリート造 90~120万円
鉄骨造 80~120万円
(軽量)80~120万円
(重量)90~120万円

※HOME4U調べ

上記の表を見ると、「木造」が最も安く、「鉄筋コンクリート造」や「重量鉄骨造」は木造と比較すると10~20万円ほど高くなっています。

これは建材費の違いによるものです。また坪単価が高い構造は耐久性に優れていると言えます。

2-2.【地域別】建築費用の坪単価相場

アパート建築における地域別の坪単価相場は以下のとおりです。

なお坪単価については、国土交通省 建築着工統計調査(2022年/令和元年)をもとに、各都道府県の工事費予定額及び床面積の合計から算出しています。

【6都道府県の建築坪単価 平米/坪】
都道府県 1平米あたりの価格(万円) 坪単価(万円)
北海道 17万円 56.1万円
東京都 32万円 105.6万円
神奈川県 27万円 89.1万円
愛知県 24万円 79.2万円
大阪府 23万円 75.9万円
福岡県 21万円 69.3万円

※坪単価は1平米当たりの価格に3.3をかけて計算
※すべての構造で計算した坪単価です
【出典:国土交通省 建築着工統計調査 住宅着工統計 34表より作成】

上記の表を見ると、地方より首都圏の方が坪単価が高い理由は、都市部は住宅が密集していることから、工事用トラックの搬入や交通整理の難易度が上がり、工賃が追加でかかるためです。

土地の広さ(坪数)ごとの具体的な建築費用を知りたい方は、以下の記事もぜひご覧ください。

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3.アパート建築に必要な資金

ほとんどの場合、アパートの建築時にはアパートローンを利用します。

アパートローンの借入金額は返済プランと相互関係にあるため、毎月の返済計画を立てたうえで予算を設定することが大切です。

一般的に、自己資金とアパートローンの割合は3:7が理想とされています。
ここでは、自己資金とアパートローンについてそれぞれ詳しく解説します。

3-1.自己資金

アパートを建築する際は、最低でも総費用の10〜30%の自己資金を用意しておくとよいでしょう。

金融機関では、建物の法定耐用年数以内で借入期間を設定するケースが一般的です。

また、アパートローンの審査は年々厳しくなっており、フルローンでは審査が下りないケースも少なくありません。
自己資金は必ず用意しましょう。

3-2.アパートローン

アパートローンとは、土地活用のための資金調達として利用される事業系ローンです。
借入可能な金額は年収の10倍~30倍が目安となっています。

2023年現在の金利相場は1%~3%台で、都市銀行が2%前後と低めです。

<図 アパートローン金利の金融機関比較>

また返済期間は10年以上が一般的です。
また返済期間はアパートの耐用年数以内で設定します。
構造により耐用年数が異なります。詳しくは下記記事をご参考ください。

アパートローンについては、こちらの記事もご参照ください。

4.アパート建築費用の支払い方法・時期

アパートの建築費用は一括で払うのではなく、工事の段階ごとに複数回に分けて支払います。

また、設計料や工事費用の他にも、税金や調査費用などの諸費用が随時発生します。

建築費用の具体的な支払いスケジュールについては、以下の表を参考にしてください。

<図 建築費その他費用の支払いスケジュール>

5.アパート建築費用の内訳

アパート建築費用の内訳は、大きく分けて「設計料」「建築工事費(本体工事費・付帯工事費)」「諸費用」の3種類です。

諸費用には、税金・登記費用・住宅ローン関連費用などが該当します。詳しくは下記記事をご参考ください。

それぞれの費用の割合はおおむね以下の図のとおりです。

<図 予算配分のイメージズ>

アパート建設にかかる具体的な費用については、以下の記事をご参照ください。

6.【建築費用別】アパート建築シミュレーション

ここでは、建築費用別にどのようなアパートを建てられるのかシミュレーションを行います。

  • 建築費用3,000万円の場合
  • 建築費用5,000万円の場合
  • 建築費用1億円の場合

6-1.建築費用3,000万円の場合

建築費用3,000万円の場合、以下のようなアパートを建築できます。

<設定条件>

  • 木造2階建て
  • 延床面積36坪
  • 坪単価77万円
  • 1R6室

【初期費用シミュレーション】
費用額 計算方法
総額 3,188万円 A+B+C
A:建築工事費 2,772万円 坪単価×延床面積
B:設計料 138万円 A×5%
C:諸費用 277万円 A×10%

建築費用3,000万円のアパートはコンパクトになるため、戸数を多く設けるには単身向けの間取りが現実的です。

建築費用3,000万円のアパート建築については、以下の記事でも解説しています。

6-2.建築費用5,000万円の場合

建築費用5,000万円の場合、以下のようなアパートを建築できます。

<設定条件>

  • 木造2階建て
  • 延床面積58坪
  • 坪単価77万円
  • 1DK3室、1LDK3室

【初期費用シミュレーション】
費用額 計算方法
総額 5,136万円 A+B+C
A:建築工事費 4,466万円 坪単価×延床面積
B:設計料 223万円 A×5%
C:諸費用 447万円 A×10%

建築費用5,000万円のアパートでは単身向けなら6~8戸、ファミリー向けなら3~4戸の規模が建築の目安となります。

建築費用5,000万円のアパート建築については、以下の記事でも解説しています。

6-3.建築費用1億円の場合

建築費用1億円の場合、以下のようなアパートを建築できます。

<設定条件>

  • 鉄骨造3階建て
  • 延床面積120坪
  • 坪単価90万円
  • 1DK12室

【初期費用シミュレーション】
費用額 計算方法
総額 1億2,400万円 A+B+C
A:建築工事費 1億800万円 坪単価×
延床面積
B:設計料 540万円 A×5%
C:諸費用 1,080万円 A×10%

建築費用1億円になると、70坪以上の広い土地にも対応できるようになります。

また、選べる建築プランの幅がさらに増えるため、木造以外の構造を選択したり、戸数を増やしたりすることが可能です。

建築費用1億円のアパート建築については、以下の記事でも解説しています。

7.アパート建築費用は高騰中!コストを抑えるポイント5つ

アパートの建築には多額の費用が必要ですが、不安定な世界情勢などを背景に、建築費用は年々高騰し続けています。

建物の質を落とさず建築費用をできるだけ抑えるためには、以下のポイントを意識することが大切です。

  1. 最適な構造を選ぶ
  2. デザインや仕様にこだわりすぎない
  3. 設計施工一括方式を選ぶ
  4. 部屋数を増やしすぎない
  5. 複数社に見積もりを依頼する

ここでは、それぞれの内容を詳しく解説します。

7-1.最適な構造を選ぶ

アパート建築で無駄なコストを抑えるためには、立地や建築プランに合った構造を選ぶことが必要不可欠です。

たとえば、鉄骨造や鉄筋コンクリート造は木造と比べて坪単価が高くなるため、小規模アパートで採用するのはおすすめできません。

7-2.デザインや仕様にこだわりすぎない

アパートのデザインや設備などの仕様にこだわりすぎると、建築費用がかさんでしまうため注意が必要です。

設備のグレードも過剰に上げるのではなく、家賃設定に合わせて選ぶのがベターです。
どの設備がいいか迷う方は大手ハウスメーカーのパッケージプランの利用をおすすめします。

7-3.設計施工一括方式を選ぶ

アパート建築でコストカットを目指すなら、設計施工一括方式を選ぶとよいでしょう。

設計施工一括方式とは、アパートの設計と工事の施工を同じ会社に依頼する方法です。
一括方式を選択することで、別々の会社に依頼する分離方式と比較して設計費を5〜6%ダウンできます。

また、一括方式ではその会社が得意な工法で設計を行えるため、コストカットしやすい点も大きなメリットです。

7-4.部屋数を増やしすぎない

アパートの建築費用を抑えるためには、部屋数を増やしすぎないことも大切なポイントです。
部屋数が少ない方が設備の設置数が少なく済むため、その分のコストカットにつながります。

また、1戸あたりの面積を40平米から240平米までに設定することで、不動産取得税の軽減措置が適用される事も覚えておきましょう。

ただし、部屋数を減らして間取りを広くすると、坪当たりの賃貸料は低くなります。

7-5.複数社に見積もりを依頼する

ハウスメーカーによって建築費用や得意な建築プランが異なるため、必ず複数社に見積もりを依頼するようにしてください。

最初から1社のみに絞ってしまうと、提示された費用が本当に適正価格なのか、経営方針や立地に合ったプランなのかの判断ができません。
複数の情報を比較検討したうえで、慎重に判断することが大切です。

以下のボタンから土地情報を入力すると、最大10社のハウスメーカーによる建築費の見積もりや収支計画の無料診断が受けられます。

8.建築会社を選ぶ際のポイント

収益性の高いアパート経営は、その土地に対していかに最適な建築プランと出会えるかがカギとなります。ここでは、建築会社選びのポイントについて解説します。

  1. 大手企業か地域密着型か
  2. どのような構造を得意としているか
  3. プランの内容が地域の需要に適しているか
  4. 見積書の内容が明確か
  5. 信頼できる建築会社か

8-1.大手企業か地域密着型か

技術力が高く品質の安定した大手企業なら、アパート建築のノウハウも豊富です。計画から設計・施工まで安心して任せられるでしょう。

一方で、地域密着企業には地元ならではの安心感があります。

8-2.どのような構造を得意としているか

地元密着型の小規模な工務店の中には、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の施工に慣れていない会社もあるでしょう。

大手ハウスメーカーの場合は自社独自の工法があり、軽量鉄骨しか取り扱っていない場合もあります。

それぞれの構造の良し悪しを知った上で、幅広い選択肢の中から選びたいという方は、大手メーカーに限らず様々な建築会社からプランを提案してもらいましょう。

8-3.プランの内容が地域の需要に適しているか

アパートのような収益物件は、周辺環境や土地の条件・特徴をしっかりと把握した需要のあるプランであることが大切です。

例えばファミリー向けか単身者向けか。単身者向けなら、女性向けか男性向けか。騒音はないか、駐車場は必要か、などです。

適格なリサーチ力とアパート建築の経験やノウハウを備えた建築会社を選択することをおすすめします。

8-4.見積書の内容が明確か

優良な業者と、そうでない業者との間では「見積書の内容」に差があります。
慎重にチェックすべきは「収益シミュレーション」の箇所です。

表面利回りが10%以上あるかどうかが、その工事を実施するべきか否かを分けるポイントとなります。

利回りについては下記記事をご参考ください。

中には建築費用だけを提示して、収益シミュレーションを出してくれない業者もあります。
こうした業者は高い収益性が見込めない工事を、建築費用の安さだけをアピールして受注しようとしている可能性も否定できません。

8-5.信頼できる建築会社か

建てたあとのフォローも含め、納得のいくアパートを建築できるかどうかは、建築会社の経験や実績、今後のオーナーとの関係性にかかっています。
つまり、いかに信頼できる建築会社であるかということが重要です。

信頼性を見極めるために、問い合わせや面談時の対応が誠実かどうかを注意深くチェックしましょう。

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