土地活用を始める際に多くの方が迷うポイントとして、「税理士やファイナンシャルプランナーなど、どの専門家に相談すべきか」という問題があります。
頼るべき専門家は、悩みによって異なります。
つまり、「相続対策についての相談はこの専門家」「アパートの建築についてはこの専門家」と、分野ごとに相談相手を使い分けるのが適切です。
この記事では、各相談内容別の相談先の選び方について解説します。
この記事を読めば、さまざまな専門家のサポートを受けて土地活用を成功させるためのイメージを掴むことができるでしょう。
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土地活用の相談の流れ
土地活用について検討し始めたら、まずは「土地活用企業へ相談」した上で「税や資金計画について相談」という2つのステップで進めるのがコツです。
それぞれの悩みの種類ごとに、そのジャンルを得意とする専門家は異なります。
特に税金や資金計画についての相談は、土地活用のプランがあってこそ具体的なアドバイスが聞けるので、上記のステップで効率よく進めてみてください。
詳しい流れや相談先については、「土地活用の相談の流れ」をご確認ください。
土地活用はどこに相談する?
土地活用の相談は、3つのステップに分けて進めるのがおすすめです。それぞれのステップにおける相談先は以下のとおりです。
【ステップ1】不動産関係会社へ相談する
- ハウスメーカー・建築会社
- 工務店
- デベロッパー
- 駐車場・コインランドリーなどの専門運営会社
- 不動産会社
- 自治体の無料相談窓口
まずは上記のような土地活用企業へ相談し、自分の土地に合った活用方法を考えてみましょう。詳しくは、「【ステップ1】まずは不動産関係会社へ相談する」をご確認ください。
次に、税や資金計画の専門家へ相談して意見を聞くのがおすすめです。
【ステップ2】税・資金はお金の専門家へ相談する
- 税理士
- ファイナンシャルプランナー(FP)
- 金融機関
- 弁護士・司法書士
詳細は「【ステップ2】税金・資金はお金の専門家へ相談する」をご確認ください。
さらに、相続などで不安がある方には法の専門家への相談がおすすめです。
【ステップ3】法的な問題は法の専門家へ相談する
- 弁護士・司法書士
詳細は「【ステップ3】法的な問題は弁護士・司法書士へ相談する」をご確認ください。
土地活用を相談する際のコツ
土地活用を相談する際は、以下の4つのポイントを押さえることが大切です。
- 相談先の特徴を知っておく
- 所有地の説明ができるようにしておく
- 要望を整理しておく
- 土地活用プランを比較する
詳細については「土地活用を相談する際の注意点」をご確認ください。
詳しい解説は以下
目次
1.土地活用の相談の流れ
土地活用を始めようと思ったときには、「誰に」「どんな順番で」相談すればよいのでしょうか?
土地活用を始めるにあたり、悩みの種類で相談先を検討することがまずは大切です。土地活用においてオーナーが悩む内容と、それぞれに適した相談先について、以下の表にまとめました。
悩みの種類 | 相談先 |
---|---|
土地の需給・家賃水準などのマーケット状況、 法規制(その土地で建てられる建物の種類) |
|
土地活用開始後の税金対策 | |
資金計画 | |
相続の権利関係 |
上記は一例ですが、それぞれの悩みの種類ごとに、そのジャンルを得意とする専門家は異なります。例えば、税金対策の方法については税理士が最も詳しく、土地の集客力や家賃相場についてはハウスメーカーやデベロッパーが相談相手として適切でしょう。悩みの種類によって、適切な相談先を選ぶことが大切です。
具体的に、土地活用を考え始めたときには、次の「2つのステップ」で相談することをおすすめします。
まずは、賃貸市場や法規制に精通した専門家、つまりハウスメーカーやデベロッパーなどに土地に合った活用プランを提案してもらいましょう。土地活用をスタートする前に、アパートやマンションの需要と供給はどんな状況か、家賃水準はどれくらいかといった的確な「市場分析」をしてもらうことが大切です。
その後、必要に応じて、税理士やファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家に相談します。税金対策や資金計画の専門家に相談するときには、「ステップ1」で提案を受けた具体的な土地活用プランを用意してから相談するとスムーズです。
なお、税理士やファイナンシャルプランナー、土地活用プランナーは、ハウスメーカーやデベロッパーなどに所属している場合も多く、提携している専門家を紹介してもらえる場合もあります。
2.【ステップ1】まずは不動産関係会社へ相談する
所有している土地で取り組む予定の土地活用方法がすでにイメージできていれば、それぞれの活用方法を得意としている企業からまずはプランを提案してもらうのがおすすめです。
土地活用の種類と土地の条件別に適した相談先をまとめました。
活用法 | 土地の条件 | 相談先 |
---|---|---|
アパート・マンション経営 戸建て賃貸 賃貸併用住宅 高齢者向け住宅など |
駅に近い土地 広い土地 駅から遠い土地 大通り沿い | ハウスメーカー 建築会社 設計事務所 |
コインパーキング 月極駐車場 太陽光発電 貸地など |
駅に近い土地 広い土地 駅から遠い土地 大通り沿い | 不動産会社 コインパーキング専門会社 太陽光発電専門会社など |
貸店舗 貸オフィス トランクルームなど |
広い土地 駅から遠い土地 大通り沿い | 建築会社 トランクルーム専門会社など |
売却 借地 |
駅に近い土地 広い土地 駅から遠い土地 大通り沿い | 不動産会社 |
また、所有している土地の特徴から適していそうな土地活用方法を考え、それを得意としている企業へ相談してみるのも一つの方法でしょう。
この章では、それぞれの相談先の特徴についてご紹介します。
なお、どの企業に相談するべきかわからない場合には、以下のボタンからまずは無料のプラン請求をしてみることをおすすめします。最大10社に一括請求することができます。
2-1.ハウスメーカー・建築会社
ハウスメーカーや建築会社は、戸建て住宅、アパートやマンション、企業によっては医療・福祉施設や商業施設の建築も手掛けています。それぞれ、木造、鉄骨などの得意な構造が決まっていることが多いです。
一般的にハウスメーカーでは商品が規格化されていることが多く、オリジナリティにやや欠ける面はありますが、逆に言えば、失敗しにくい「鉄板」のプランが見つかります。また、ある程度まで工場で資材を加工するので建築期間が短く、品質が安定しているのも特長です。
また、ハウスメーカーはグループ内に管理会社や不動産会社を持っていることが多いのもメリット。設計、建築だけでなく、竣工後の管理までワンストップで対応できる企業がほとんどです。
ハウスメーカー・建築会社に相談するべきなのはこんな人
- アパートやマンション、戸建て賃貸などの経営を考えている
- 立地の良い土地を所有している
- 建築後の管理業務までワンストップで任せたい
2-2.工務店
規模の大きなハウスメーカーは全国に拠点を持っているところが多いですが、土地活用を検討する際、地元密着の工務店に相談をするのも一つの方法です。
工務店が手掛けるアパートはほとんどが木造で、狭小地や変形地をうまく活かした設計が得意です。現場施工が中心となるので、施工期間が長めになる傾向があります。また、木造三階建てや、大規模なアパートの経験値は少ないのが一般的です。
ハウスメーカーに建てられる建物を工務店で建てると建築費が高額になってしまうことが多いですが、設計や建築の工夫によっては費用を抑えて建てることも可能です。
工務店に相談するべきなのはこんな人
- 自分好みの建物をこだわって建築したい
- 地元密着の会社に建築を依頼したい
2-3.デベロッパー
デベロッパーは、土地や街の企画・開発を主に行っている企業のことをいい、広い土地に大規模なマンションやビルなどを建築する場合の相談先として挙げられます。
大通り沿いの立地の良い場所や商業地、もしくは広い土地を持っている場合には、規模の大きな建築にノウハウを持ったデベロッパーに相談してみると、土地活用の選択肢が広がるでしょう。
たとえばマンションに向いている広い土地の場合、オーナーが建築費を負担せずデベロッパーがマンションを建てて、土地の価格に見合った分の所有権と交換する「等価交換」なども方法としてあります。
デベロッパーに相談するべきなのはこんな人
- 広い土地を持っている
- 大きなビルやマンション経営を想定している
- 大通り沿いや立地の良い場所に土地を持っている
2-4.駐車場・コインランドリーなどの専門運営会社
初期投資を抑えたい場合や、狭小地などあまり条件の良くない土地を持っている場合には、建物を建てる土地活用ではなく、駐車場やコインランドリー、トランクルームなどの土地活用方法を考えることもあるでしょう。また、郊外で日当たりの良い広い土地なら、太陽光発電を検討することもあるかもしれません。
こうした場合は、駐車場経営の管理会社や、コインランドリーの運営を行っている専門業者などが相談先として挙げられます。それぞれに特化した市場データとノウハウを持っているので、興味がある場合は相談してみるとよいでしょう。
駐車場・コインランドリーなどの専門会社に相談するべきなのはこんな人
- 賃貸住宅以外での土地活用を考えている人
- 狭小地や傾斜地など、活用方法が難しい土地を持っている
- 初期費用をかけずに土地活用を行いたい
2-5.不動産会社
土地の売却を考える場合や、借地として利用することも考える場合には、その仲介をしてもらえる不動産会社が相談先の候補として挙げられます。
売却の場合、まとまった金額にはなるものの、土地を手放すことになるためその後の収益にはなりません。ただ、土地にかかる固定資産税等の税金や管理コストもなくなるのはメリットといえるでしょう。
不動産会社に相談するべきなのはこんな人
- 土地の売却を考えている人
- 借地としての土地活用を考えている人
2-6.市役所など自治体の無料相談窓口
「こんな土地活用がしたい」という候補がまだなく、まずはどんな建物が建てられるのか確認したい場合は、地方自治体の建築課などに相談してみるのも一つの方法です。
市区町村役場などの建築課に行けば、「このエリアはアパートなら建てられる」「1階を店舗にする場合には●平米まで」「建物の高さは10mまで」といった土地利用上の制限を教えてもらえます。
立場上、「どの活用方法が一番良いのか」といったアドバイスはもらえませんが、法規制の内容をもとにどんな土地活用ができるのかを考えたいときに最適な相談先です。
相続などで故郷の土地を所有しているものの、土地活用することで収益性が期待できないときなどは、国が相続した土地を引き取る制度「相続土地国庫帰属制度」の利用を検討してもよいでしょう。この制度の相談窓口は土地の所在地にある法務局です。
自治体の建築課などに相談するべきなのはこんな人
- まずは所有する土地にかかる規制について知りたい人
- どんな建物が建てられるのかざっくり知りたい人
3.【ステップ2】税金・資金はお金の専門家へ相談する
ある程度土地活用方法を絞り込んだあと、「建築会社以外の中立な意見が聞きたい」「相続税対策を詳しく相談してから土地活用を始めたい」と考える方もいるでしょう。
次のステップとして、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家へ相談することをおすすめします。
税理士などの専門家は、土地活用そのものについては専門外なので「どんな土地活用がよいか」と曖昧に聞くのではなく、「この土地活用は税金の面では有利か」などと具体的に聞くことで、専門的な視点からアドバイスがもらえます。
3-1.税理士
税理士には、相続税対策など税金に関することを具体的に相談できます。
現在の資産状況から、相続税はどれくらいかかる見込みか、土地活用によってどれくらい節税できるのか相談するとよいでしょう。
税理士にも得意分野があるので、相続税に精通している税理士を選んで相談する必要があります。
また、初回の相談は無料の場合もありますが、料金体系をあらかじめ確認してください。
なお、土地活用を扱う建築会社やハウスメーカーの社内税理士に相談できる場合や、提携税理士を紹介してもらえる場合もあるので、建築会社等に聞いてみるのもおすすめです。
3-2.ファイナンシャルプランナー(FP)
ファイナンシャルプランナーは、税金、相続、金融、保険などの幅広い知識を持っているので、資産全体を見てアドバイスしてほしいときに向いています。また、土地活用企業から出された資金計画が妥当かどうか見てほしいときにも、適した相談先となるでしょう。
FPへの相談も費用がかかるケースがあります。
ハウスメーカーや建築会社にも在籍していることが多いので、土地活用プランと合わせて相談するのがおすすめです。
3-3.金融機関
銀行の本部には、土地活用や相続について相談できるコンサルティング部署が置かれていることが多いです。
各支店の担当者は土地活用に詳しいとは限らないので、専門の部署を紹介してもらってください。
銀行とのつながりがあれば、土地活用で融資が必要になった際にスムーズです。
4.【ステップ3】法的な問題は弁護士・司法書士へ相談する
弁護士や司法書士は、法律に関する専門家です。
土地活用を始める前に、相続時の権利関係で問題がある場合、建築法規などの法律の問題をクリアしなければならない場合には、弁護士や司法書士への相談が必要となります。
また、建築時や登記、賃貸、売買時など法律が関わるさまざまな場面で頼ることがあるでしょう。
5.土地活用を相談する際の注意点
土地活用には非常に多くの種類があり、さまざまな相談先が存在します。相談するときには、次の4つのコツを押さえてください。
- 相談先の特徴を知っておく
- 自分の土地について説明できるようにしておく
- 要望を整理して伝える
- 複数の企業の提案を聞く
それぞれ解説します。
5-1.相談先の特徴を知ってから相談する
まずはそれぞれの企業の特徴を知った上で、相談先を選ぶことが大切です。
土地活用企業へ相談する段階で、いろいろな土地活用の可能性を探るためには、複数の企業に相談してみる必要があります。
全ての土地活用を手掛けていて全てを強みとしている会社というのは、存在しません。例えば賃貸住宅系だけでも、アパートやマンションのほかに、「戸建賃貸」「賃貸併用住宅」などさまざまな種類があります。そして、一口にハウスメーカーといっても、対応できる土地活用方法や、得意な構造・工法はそれぞれ異なります。
同様に、税や資金計画について相談したい、第三者の意見を聞きたい、といったときにはその分野の専門家を頼る必要があります。
それぞれの相談先に得意分野がありますので、できるだけ多くの専門家の意見を聞いた上で自分に合った土地活用方法を選ぶことをおすすめします。そうしたプロセスを積み重ねていくことで、オーナーとしての知見も蓄積されていくでしょう。
5-2. 所有する土地について説明できるようにしておく
土地活用について相談するにあたって、土地に合ったプランを出してもらい、具体的なアドバイスを受けるためには、自分の土地について説明できるようにしておくことが重要です。
相談に行く前にあらかじめ必要な書類について確認し、準備しておくことをおすすめします。一例としては以下のものが挙げられます。
- 権利書
- 登記簿謄本
- 測量図
登記簿謄本や測量図などは、法務局に行くと簡単に取得できます。
土地について何も分からない状態で相談に行っても、具体的なアドバイスを受けることは難しいものです。できる範囲で書類を用意し、土地の周辺環境についても自分で調べたうえで考えをまとめておくとスムーズです。
5-3.土地活用への要望を整理して伝える
土地活用を相談するときには、相談先に土地オーナーとしての要望を伝えることが大切です。土地活用への要望や目的はオーナーによって千差万別。そのため、良心的な企業であれば、最初にオーナーの要望・希望をヒアリングして、それに合った形で提案をしてくれます。
次の例を参考に、伝えたい要望を考えておくとスムーズに相談できます。
- 相続税対策がしたい
- 初期投資の予算を抑えたい
- 管理などに手間をかけたくない
- 長期的な土地活用がよい
- 将来性があって、収益性が高い土地活用を選びたい
- その土地に親族が家を建てる可能性があるため、いつでも辞められる土地活用がよい
具体的な土地活用プランの提案を見ているうちに、考えが変わってくることも多いので、まずは現時点での要望という形で伝えてみてください。
5-4.相談先の土地活用プランを比較する
土地活用の相談をするときには、複数の企業の提案を聞いて、しっかり比較してから決めることが何よりも大切です。
活用方法をひとつに絞り込めていないときはもちろん、「アパート経営をしたい」など意向が固まっている場合でも、複数のプランを集めます。
アパート建築を手掛ける会社であっても、得意とするタイプ、工法はさまざまです。一括請求でプランを集めれば、競合があることが企業側に伝わるため、自分の得意とする渾身のプランを提示してくるでしょう。これらを比較し、良いところを取り入れてブラッシュアップしていくのが土地活用成功の近道です。
また、金銭面でも比較検討しておくと安心できます。プランを見比べることで理想のスタイルに必要かそうでないかが見極められるようになり、コストパフォーマンスの良い方法を見つけられるようになります。
特にマンションやアパート経営を選ぶ場合、相談先には市場調査や法規制についてのアドバイスなど計画段階のサポートから、建築後の管理までの長い付き合いになるので、慎重に選びたいところです。
「HOME4U オーナーズ」では、収益性までしっかり考えて提案をしてくれる「土地活用」に強い建築会社、最大10社からプランを請求できます。相談先を絞り込めないときにぜひご活用ください。
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