「土地活用関連記事、その他系」内の、「ビル建て替えの判断基準と費用」について解説した記事です。どの程度の年数がたてば建て替えとなるのか、費用はいくらかかるかについて解説しています。また、建て替えの流れや立ち退きのポイントについても分かる内容です。

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更新日
2023.12.07
カテゴリ
土地活用, 記事

【徹底解説】ビル建て替えの判断基準と費用・期間

【徹底解説】ビル建て替えの判断基準と費用・期間

本記事ではビルの建て替えについて、建て替えに適した年数と判断基準、費用などを詳しく解説します。
立ち退きを含む進め方や、立ち退き交渉の注意点にも触れています。

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この記事のポイント まとめ
ビル建て替えを検討すべき築年数は?

構造や用途によっても異なりますが、法定耐用年数と照らし合わせて検討すべきです。
ビルの法定耐用年数は多くの場合で30~50年です。

詳しくは、「1.ビル建て替えを検討するべき築年数」をお読みください。

築年数以外に検討すべき3つの判断基準は?
  • 耐震性に不安がある
  • 維持管理費が増加している
  • 空室率が上昇している

詳しくは「2.築年数以外に検討すべき3つの判断基準」をお読みください。

ビル建て替えにかかる費用は?

以下は、延床面積200坪の4階建てビル(鉄筋コンクリート造)の場合の概算です。

  • 立ち退きにかかる費用(移転費用、利用権、利益の補填)
  • 解体費用:6,400万円
  • 建築費用:8億3,200万円

詳しくは「3. ビル建て替えにかかる費用」をお読みください。

ビルの建て替えで注意すべきポイントは?

1.ビル建て替えを検討するべき築年数

ビルなど建物には法律で耐用年数が定められています。構造によって年数は変わり、ビルにみられる構造の場合、以下の通りです。

【重量鉄骨造の場合】
用途 法定耐用年数
事務所用等 38年
店舗用、住宅用、寄宿舎用、宿泊所用、学校用または体育館用 34年
飲食店用、貸席用、劇場用、演奏場用、映画館用または舞踏場用 31年
【鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の場合】
用途 法定耐用年数
事務所用等 50年
住宅用、寄宿舎用、宿泊所用、学校用または体育館用 47年
飲食店用、貸席用、劇場用、演奏場用、映画館用または舞踏場用 41年
飲食店用または貸席用で延床面積中木造内装部分が3割を超えるもの 34年
旅館用またはホテル用 39年
上記のもので延床面積中木造内装部分が3割を超えるもの 31年

【参考:【東京都主税局】減価償却資産の耐用年数表

構造別に定められている法定耐用年数と建物の寿命はイコールではありません。
法定耐用年数は資産価値があると法律的に判断されている期間で、これを過ぎると法律上資産価値はゼロとなります。

価値がゼロになっても入居があれば収入はあり続けます。ただし、売却となると不利です。
また、ビルの法定耐用年数は多くの場合で30~50年となり、設備の旧タイプ化が進むだけでなく、修繕が必要な個所も増えてくる時期でしょう。

そのため、法定耐用年数をひとつの目安にして建て替えを検討し始めるのも手です。

2.築年数以外に検討すべき3つの判断基準

ビルの建て替えを判断する基準としては一般的な「築年数」のほかにも3つあります。

  1. 耐震性に不安がある
  2. 維持管理費が増加している
  3. 空室率が上昇している

2-1.耐震性に不安がある

築40年を超えるビルの場合、新耐震基準を満たしていない恐れがあります。新耐震基準は1981年6月に施行された基準で、震度6強から7の地震でも倒壊しないことが求められています。

耐震補強などの対応をしていない場合、耐震補強工事をするか、建て替えするかの選択を迫られることになります。

築40年を超えた建物の場合、耐震補強をしても築年数から判断されて入居希望者に敬遠されることもあるでしょう。
また、耐震補強工事もかかる費用は高額です。高額かけて補強工事をしても入居率アップにつながるとは限りません。

耐震性に不安がある場合、建て替えを積極的に検討すべき段階になったといえます。

2-2.維持管理費が増加している

建物は築年数が増えればそれだけ、維持するための費用がかかるようになります。
修繕箇所の増加だけでなく、設備を刷新するためのリフォームなど、手を加えなければならない箇所は増加の一途です。

適切なメンテナンスをし続けることで、耐用年数を超えても建物としての機能を損なわずにあり続けるビルもあります。
しかし、セキュリティ面や電設などの進歩は日進月歩です。ニーズへの対応を求められる機会も増えるでしょう。

維持するための費用は古くなればなるほど、かかるようになります。よって、維持費の費用対効果も上がらなくなってしまったら建て替えどきといえます。

2-3. 空室率が上昇している

アパートやマンションなど賃貸集合住宅では、空室率が5割を超えたら建て替え検討の段階といわれています。ビルでも同様に考えてよいでしょう。

5割というのは、立ち退きの費用にも関連性があります。ビルの入居者は主に事業者です。事業者に立ち退きを求めるとなると、転居に伴う事業損失分も補てんする必要があります。
つまり、立ち退きの交渉相手が減った状態であれば、立ち退き料の負担も少なく建て替えがスムーズにいくという考え方です。

空室率が上がって収益が少なくなれば、災害など不測の事態への対処に備えることもできません。余力が生まれない経営状態は建て替えの検討段階に入っています。

3. ビル建て替えにかかる費用

ビルの建て替えには莫大な費用がかかります。内訳は以下の通りです。

  • 立ち退きにかかる費用
  • 解体費用
  • 建築費用
  • 諸費用

それぞれについて詳しく解説します。

3-1.立ち退きにかかる費用

建て替えには立ち退き交渉がつきものです。ビルの場合、オフィスビルでもテナントビルでも交渉相手は事業者になります。
事業者への立ち退き料には営業補償を入れなければならず、かなりの負担となるでしょう。立ち退き料は以下のような金額の補償で成り立ちます。

  • 移転費用の補償
  • 利用権の補償(借家権)
  • 利益の補償(営業補償)

これ以外にも、慰謝料や設備の買取費用を含む場合もあります。相場は数百万~億単位と一概には言えません。業務形態によって損失が大きく異なるからです。

立ち退きの注意点に関しては「5.ビルの立ち退き交渉の注意点」で詳しく解説します。

3-2.解体費用

ビルの解体費用は数千万円単位になることも珍しくありません。構造によって目安となる坪単価相場は変わります。

【構造別解体費用の坪単価】
構造 坪単価
鉄筋コンクリート造 約7~8万円
鉄骨鉄筋コンクリート造 約8~9万円

坪単価相場から算出すると、例えば、延床面積200坪の4階建てビル(鉄筋コンクリート造)となると6,400万円の解体費用がかかる計算です。

構造が堅牢なものであればそれだけ解体にかかる手間が増えるため、費用も高くなります。また、ビルの解体には廃材処分費用もかかります。
地域柄にも注意が必要です。環境によっては解体工事の難易度が上がります。都会の密集地にあるビル解体では、相場より高くなるのが一般的です。

3-3.建築費用

ビルの構造は主に3種類の選択肢があります。
鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の3種類です。

【構造別:ビル建築費の坪単価相場】
構造 坪単価 傾向
鉄骨造(S造) 約72万円 広い室内空間ほど梁が太くなるため高くなる
鉄筋コンクリート造 約104万円 狭い土地、5階程度まで採用される
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 約114万円 大型の工場・倉庫でも採用されている

【※出典:国土交通省 統計表名「令和3年度 建築着工統計調査 用途別、構造別/建築物の数、床面積、工事費予定額」】

例えば、延床面積200坪の4階建てビル(鉄筋コンクリート造)では建築費を8億3,200万円と概算できます。

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4. ビル建て替えの流れ

ビルの建て替えはおおよそ5~10年をかけて計画を進めていくのが一般的です。資金の準備や立ち退き交渉に多くの時間を費やします。

ビル建て替えの流れ

4-1. プラン検討と決定

建て替え計画はまず、プランを検討することから始めます。建て替えの目的、想定規模、かかる費用などを相対的に検討して、最適なプランを決定する流れです。

建て替えプランの検討は、想定する建て替え完了時期よりも7~10年前から始めます。本来は、判断基準に挙げられたような状況に陥る前に建て替えを検討するのが理想です。

プラン検討は最初から1社に絞り込むのではなく、複数社のプランを突き合わせて検討します。比較することで、新たな発見があったり、最適なプランを見つけやすくなったりするでしょう。

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4-2.立ち退き交渉と手続き

ビルの場合、立ち退き交渉相手は事業者です。立ち退きが営業活動に与える影響は大きいため、影響を最小限にするためにも交渉期間は長くとる必要があります。

立ち退きの流れは以下の通りです。

  1. 立ち退きの経緯を書面で伝える
  2. 口頭で立ち退きの説明を行う
  3. 立ち退き料の交渉
  4. 退去手続き

交渉は誠意をもって対応しなければトラブルに発展する恐れがあるため、慎重に進めます。

4-3.解体工事

立ち退きが完了したら、解体工事です。
工事に着手する前に近隣にあいさつを済ませます。特に建て替えの場合はその後も関係が続くため、何かあった時の対応は大切です。

工事の期間は2ヶ月ほど見積もっておきます。鉄骨鉄筋コンクリート造だったり、地下があったりする構造では工期は延びがちです。
また、規模によっても変わります。見積もり検討時にどの程度の期間を想定しているか聞いておくとよいでしょう。

4-4.建築工事

ビルの建築の工期は、フロア数+3ヶ月程度が目安です。
これは、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造の場合、コンクリートを固める手間があるためで、頑強な構造になればそれだけ工期も長くなるといわれています。

ただし、賃貸ビルの場合はスケルトン貸しであることが多く、内装工事にはさほど手間をかけずに済むのが一般的です。

4-5.完成~入居開始

建築工事が完了したら、建築確認などの検査を経て引き渡しです。
続いてリーシング業務を行う会社と契約するなどして、入居者の募集をします。商業用不動産の場合、リーシング業務を専門に行う会社に依頼するのが一般的です。

5.ビル立ち退き交渉の注意点

ビル建て替えの最大の関門は立ち退き交渉といっても過言ではありません。
本章では、立ち退きにかかわる法律やテナント立ち退きの難関ともいえる営業補償について解説します。

5-1.立ち退きには正当事由が必要

テナントとの賃貸契約には、借地借家法がかかわっています。契約の種類は主に3パターンです。

  • 普通借家契約
  • 定期借家契約
  • 一時使用契約

借地借家法とは建物の賃貸借契約と効力等について、借主を保護する目的で定めたものです。

アパートなどの賃貸借契約でよく用いられるのは普通借家契約で、契約の更新があります。貸主側の契約解除の申し入れが制限され、立ち退きには正当事由が必要です。
定期借家契約は賃貸借契約に期間を設けたもので、更新はありません。更新がないため契約期間終了時に立ち退きを求めることができます。

普通借家契約の場合と定期借家契約でも期間が満了していない場合は、立ち退き交渉が必要です。立ち退きを求める際は正当事由が必要になってきます。
しかし、建て替えを目的とした立ち退きは正当事由にはなりません。そのため、交渉材料として立ち退き料を提示することになります。

5-2.立ち退き料には営業補償も含む

テナントに対する立ち退きでは、立ち退き料に営業補償を上乗せして交渉をするのが一般的です。
営業補償には、移転にかかる費用だけでなく、休止期間中に見込まれる収益減少分や登記移転への補償などが含まれます。

テナントへの立ち退き料はこの営業補償を含むことから高額になります。
また、業種によって損失見込みも変わることから、額もまちまちです。小売業向けのテナントの場合、賃料の2,3年分を見込んでおくとよいでしょう。

5-3.立ち退き交渉は長期になる

事業者に対する立ち退き交渉は長期化します。交渉自体がスムーズに進んでも立ち退きへの準備に非常に時間がかかるため、数年単位で慎重に進めていかなければなりません。

普通借家契約による賃貸借契約を結んでいる場合、解体時期を見越した定期借家契約に変更してもらいます。
契約期間が満了した段階で立ち退きをしてもらうかたちです。こうした手続きの流れから立ち退きまでの期間が長期化するため、早めの行動が重要になってきます。

6.ビルの建て替えで注意すべきポイント

ビルの建て替えには莫大な費用がかかります。ひとつの失敗が大きな損失を生むという結果になりかねません。そこで、準備段階からビル経営を成功させるために注意しておきたいことを解説します。

6-1.建築費以外でかかる費用の調達ができるか

ビルの建て替えでは準備段階でも多くの資金が必要です。特に立ち退き料の負担は多い場合、億単位となることもあります。

立ち退きにかかる費用はローンで調達できないケースがあることに注意が必要です。その場合、自己資金で調達するか、立ち退き用途でも利用できる融資先を探さなければなりません。

また、解体工事費用も高額になる可能性があります。解体費用に関しては対象としているローンも存在するものの、建築費の調達とダブルでローンを組むとなるとその後の返済の負担が重くなりがちです。

準備段階でかかる費用は、前もって自己資金をある程度用意しておく必要があります。

6-2.同規模で建て替えが可能か

ビルの場合、建て替えプランを検討する前に容積率を確認しておくことをおすすめします。
容積率は、土地の広さに対して建築可能な延床面積を定めているものです。
つまり、容積率が高くなればそれだけフロア数を増やせるため事業規模を拡大できます。

土地によっては、建築から数十年がたつと容積率設定が変わっていることがあります。
ビルは多くの場合、高い容積率設定の土地に建っていることが多いですが、容積率が低くなっていると同規模での建て替えができません。同規模で建てられない場合、その後の収支プランにも大きく影響します。
本当に建て替えが最良のプランか、いまが最良のタイミングかを見極める必要があります。

6-3.ビル建て替えができない場合の選択肢を検討できているか

資金の問題や建築規制の影響などにより、ビルの建て替えができない場合もあります。そうした場合、売却かリノベーションかを選択するのが一般的です。

売却を選択すれば売却益が得られるため、それを元手に条件の良い土地の購入ができます。
ただし、祖先から受け継いだ土地を失うことになり、取り戻すことはほとんどの場合できません。

土地の一部の権利は失うものの、同じ土地で事業を継続する方法に等価交換があります。デベロッパーに土地すべて、または土地の一部の権利を譲渡することで開発してもらい、ビルを建築してもらう方法です。

リノベーションは現在のビルを大規模に改修して資産価値を高めるリフォームです。築年数はゼロには戻らないものの、古さを生かしながらリノベーションするなどした成功例も見られます。

7. ビルの建て替えを資金面から相談できる土地活用会社を選ぶポイント

ビルの建て替えは大掛かりな事業です。資金の調達や立ち退き交渉など、オーナーの方には大きな負担がのしかかります。
計画段階からしっかりとしたプランニングをしておかないと、長期化するだけでなく失敗に陥りかねません。

プランニングには、プロの力を借りるのが賢明です。ビル建て替えのノウハウをもつ土地活用会社に相談することで、資金調達面で手助けが得られることもあります。
具体的な計画を進める前にはぜひ「HOME4U オーナーズ」をご活用ください。ビルの建築実績をもつ大手企業が参画する一括プラン請求サービスで、複数の企業の建築プラン、土地活用プランを比較検討できます。

比較検討の際、

  • ビル建て替えの実績が豊富
  • 資金面での相談にも対応している

といったポイントを見極め、「HOME4U オーナーズ」で最適な企業を見つけてください。

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